ふるさとへの便り
労働環境改善へ意欲
ブータン

2018年08月23日 09:57

発電所建設地へ労働者保護のための現場指導に同行=2017年12月、ブータン・タシヤンツェ

 「Kuzuzanpola!(クズ・ザンポーラ=ブータンの公用語ゾンカ語で、『こんにちは』の意味)」。私は、標高2400メートルを超えるブータンの首都ティンプー市にある、王国政府・労働人材省でシニア海外ボランティアとして活動しています。

 ブータンは、北は中国、南はインドという大国に挟まれた、ヒマラヤ山脈東麓にある南アジアの小国です。特に開発が遅れている47の後発開発途上国の一つで、国際機関をはじめ、インドや日本などからさまざまな形で支援を受けています。九州の9割ほどの大きさの山岳地帯を中心とした国土に約73万5千人が住み、その約60%が農業に従事し生計を立てています。

 ブータンでの日本の知名度は、とても高いです。これには、日本米をはじめ市場で売られるさまざまな農作物を伝え、農業指導に生涯を捧げた「ブータン農業の父」とも呼ばれる、故・西岡京治氏の貢献があります。民間人に贈られる最高位の称号「ダショー」を外国人では唯一、国王から授けられ、「ダショー西岡」として親しまれています。

 日本でブータンというと「幸せの国」というイメージが定着しているように思います。「国民総幸福量(GNH)は国民総生産(GNP)よりも大切である」。これは、1976年、当時21歳の第4代国王の言葉です。GDPは世界191カ国中165位ですが、2015年国勢調査では国民の9割以上が何らかの形で「幸せ」を感じていると回答しています。GNHは、ブータン開発における最終的な政策目標としてだけでなく、経済発展だけが幸福の指標ではないというメッセージを先進諸国に送っています。昨年11月、世界各国から研究者らが集まり、第7回GNH国際会議が開かれ、世界に情報発信しました。

 私は労働局に配属され、労働者保護に関するアドバイスや広報の手伝いをしています。関係法令が整備され10年以上が経過しましたが、各地で多くの建設工事が進められる中、労働者の安全への配慮が行き渡らない状況が見られるため、労働環境改善などの効果的な普及啓発を進めたいと考えています。幸せの国と呼ばれるブータンで暮らしながら、「ほんのわずかでも何かこの国の役に立てたらいいな」という思いで、試行錯誤を繰り返しています。

20180823100203-f4b8fe60.jpg濵﨑浩之(はまさき・ひろゆき)さん 県職員を経て、2017年10月からシニア海外ボランティアとしてブータンへ派遣。王国政府・労働人材省で、労働者保護に関するアドバイスや広報活動の支援に従事。大垣市出身。


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