ふるさとへの便り
製造技術、世界が評価
ベトナム

2018年11月29日 13:37

さまざまな品質のスニーカーを販売する店舗が並ぶ街中=ベトナム・ホーチミン市内

 ベトナム南部の都市ホーチミンの街中を歩くと、スニーカーやTシャツ、かばんなどのブランド品を販売しているショップを見掛けますが、商品が偽ブランド、つまり模倣品であることも多く、注意が必要です。ベトナム人自身もブランド品はタイやシンガポールへ旅行に行った際に購入するなど、国内で買うことに抵抗を持つ人が多くいます。

 こうした背景には数年前に世界的ブランド品の偽物販売疑惑が報道されたことがあるのかもしれません。偽物に対する規制がベトナムにはあまりないことも原因の一つで、模倣品対策が今後の課題となっています。偽ブランド品はあまり品質が良くないのですが、今回はベトナム製品の品質事情と、世界でも認められるモノづくりの現状について紹介したいと思います。

 このところ、米中貿易摩擦への懸念から、さまざまな産業で中国から東南アジアへ生産をシフトする動きがあります。その候補先の中でもベトナムは注目を集めており、例えばスポーツ用品メーカーのアディダスは来年までにシューズの全生産量の50%以上をベトナムに集約する方針のようです。もともとベトナム人は手先が器用と言われており、衣料や履物などの縫製産業は古くから外資・ローカルとも多くの企業が集積しています。私が履いているスニーカーを見ても「Made in Vietnam」とあり、世界的にプレミアムが付くようなスニーカーにもベトナム製が多く見られます。アディダスの動きは、長年蓄積されたベトナムの靴作り技術を評価したものと言えるでしょう。

 ベトナムは木工製品の製造も盛んです。カリブ海諸島にある高級リゾートホテルがベトナムの業者にデザインや内装を任せたという報道や、エミレーツ航空がファーストクラスのキャビンの内装にベトナム製の木工製品を取り入れたといった報道は、木工分野でもベトナムは超一流ブランドにも通用するモノづくりができることを意味しています。

 自動車分野では現在、大手不動産デベロッパーのヴィングループがベトナム初の国産車製造に向けて動いています。今年10月にフランスで開催されたモーターショーで2車種を発表した際には、サッカー元イングランド代表のベッカム氏が駆け付け、その車のデザインを高く評価したとのことです。国産車の製造販売が実現すれば、ベトナムの技術力と品質の高さをアピールすることにつながるかもしれません。

 今は本物と偽物が混在し品質もまちまちですが、模倣品文化を早く一掃し、本来の手先の器用さを遺憾なく発揮して、世界に通じる品質や性能の製品をさまざまな分野で製造することで、「Made in Vietnam」が憧れの的になるようなモノづくりをしてほしいと思います。

20181115120102-30f98192.jpg 大野寿(おおの・ひさし)さん 大垣共立銀行ホーチミン駐在員事務所長。2002年入行、岐阜県や愛知県の営業店得意先係や海外事業推進部調査役を経て、16年4月からホーチミン駐在員事務所で取引先の海外進出支援などを担当。岐阜市出身。39歳。

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