ふるさとへの便り
慈善活動、400年の歴史
イギリス

2019年02月28日 10:41

ロンドン・ウィンター・ランのスタートの様子。がんの研究と治療を支える資金の調達に成功している=イギリス・ロンドン市内

ロンドン・ウィンター・ランのスタートの様子。がんの研究と治療を支える資金の調達に成功している=イギリス・ロンドン市内

 ここイギリスでは、世界的に有名な4月のロンドンマラソンをはじめとする数多くのマラソン大会が開催されています。

 今月3日、ロンドン市内で毎年恒例となった市民マラソン大会「キャンサー・リサーチUK・ロンドン・ウィンター・ラン」が開催されました。がんの治療サポートや研究を行うチャリティー団体「キャンサー・リサーチUK」主催で、ランナーたちはロンドン市内中心部の風景を楽しみながら、10キロのコースを駆け巡ります。

 イギリスでは、チャリティーやボランティアという慈善活動が大変盛んで、その歴史は17世紀までさかのぼるといわれています。実際に、街中ではチャリティー・ショップ(市民から寄付された物品を販売し、その収益を非営利活動に活用することを目的とした店)をよく見掛けます。

 本大会の主催者であるキャンサー・リサーチUKは、1902年、がんの研究と治療のために、内科医や外科医たちがイギリス初の研究チャリティー機関を設立したことをきっかけに、大きく成長してきました。現在、遺産の寄贈やイベント開催時などの募金活動、チャリティー・ショップ運営などによる団体としての収益は、2018年時点で約6億ポンド(約858億円)と報告されており、世界的規模のチャリティー団体として認められています。また、イギリス国内に、ロンドン、ケンブリッジ、マンチェスター、グラスゴー、オックスフォードを含む計14の専属研究所を持ち、収益の約8割を原資として、がんの研究や治療に従事する約4千人の科学者、医師、看護師に助成しています。

 本大会に参加するランナーの中には、別のチャリティー団体に所属している人も多く、彼らは会社の同僚、友人にスポンサーになってもらい、タイムは二の次で、完走したら寄付をしてもらうことを目的に走ります。また当日は、走り終わったランナーや、沿道のボランティアスタッフが一風変わった衣装や着ぐるみを着て応援する様子も見られ、自身のチャリティー団体について周囲に精いっぱいのアピールをしつつ、周囲を楽しませようとする雰囲気が伝わってきました。

 イギリスにおけるチャリティー文化は、肩肘を張らず、ごく自然な行動として市民一般に根付いたものであり、このような文化が日本でもさらに広まっていくよう願っています。

 田島祥子(たじま・さちこ)さん 県庁から、2017年4月より一般財団法人自治体国際化協会に派遣、18年4月よりロンドン事務所に勤務。自治体の海外展開支援、海外事情調査などを担当。羽島郡笠松町出身。


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