ふるさとへの便り
共助の村、感じた幸せ
マラウイ

2019年03月07日 12:40

陽性者グループの手工芸品制作の様子=マラウイ

陽性者グループの手工芸品制作の様子=マラウイ

 マラウイ北部の山あいにある小さな診療所に赴任して1年半が過ぎ、青年海外協力隊としての任期もあと少しとなりました。私は診療所に所属する傍ら村落を巡回してエイズの予防啓発を行い、陽性者やシングルマザーたちの自助グループの収入向上のための小規模ビジネスを支援しています。

 私の住んでいる地域にはこれまで陽性者の自助グループがなく、互いに支え合うためにグループをつくりたいという住民たちの要望を受けて、グループの立ち上げから始めました。陽性者グループはメンバーが抱えている悩みや問題を相談し合うことで互いに支え合い、薬や栄養摂取について学びながら、グループ活動として小規模ビジネスを行って自分たちの生活改善につなげていくものです。新たに立ち上げた陽性者グループは現在地域ごとに二つのグループに再編し、メンバーの中で預金を行うビレッジバンクを始めました。

 ビレッジバンクは、都市部にしかない銀行へ容易にアクセスできない村の人たちが毎週集まって金庫に預金し、お金が必要な人は利子を支払ってそこから借りる仕組みです。1年後には満期を迎えて預けたお金が返ってくるので、家畜の購入やビジネスへの投資にまとまったお金を使うことができるメリットがあります。これと並行して、アフリカ産の布チテンジを使った手工芸品を作って観光客向けに販売し、その利益で種や肥料を購入して農作物の栽培を行い、収穫した野菜を市場で販売するなどしてグループで収入向上と生活改善を図っています。

 新たに始めた収入向上活動は少しずつ軌道に乗ってきましたが、メンバーのスキル向上や販路開拓など大きな問題にも直面し、その中で試行錯誤を重ねてきました。先の見えない活動に途方に暮れることもある中で、これまで活動を続けてこられたのは、貧しくても底抜けの明るさで毎日をたくましく生きる村の人たちから、少なからず生きる活力をもらい、物はなくても精神的に豊かに暮らす村人の生活の中に自分自身が幸せを感じたからだと思います。いつも助け合って暮らすマラウイの素朴な村の暮らしの中には、忘れてはならない人間の営みの原点が今も濃く残っている気がします。

 岩田彰亮(いわた・しょうりょう)さん 国際協力団体勤務を経て、2017年7月から青年海外協力隊としてマラウイへ派遣。エイズ予防の啓発や、エイズウイルス(HIV)陽性者の生活向上を支援。羽島市出身。


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