ふるさとへの便り
未来つなぐPC教育
ケニア

2019年08月23日 09:24

コンピューターの基礎を指導する授業で=ケニア

コンピューターの基礎を指導する授業で=ケニア

 ケニアに青年海外協力隊のPC(パソコン)インストラクターとして派遣されてから約10カ月がたちました。私はウェブイェという村の職業訓練所で働いています。赴任直前に派遣先のPC講師が辞職し、着任早々生徒はいるが教師がいない状態でした。生徒は若者が多く、1クラス20人ほどで、1コマ2時間で、1学期は3カ月間。マネジャーに頼み込まれてすぐに教壇に立つことになりました。やってみると言ったものの何をしてよいか分からず、毎晩深夜まで授業案を作り、英訳しました。

 停電も頻繁に起こり、ランプの光で練習問題を作成したこともあります。文化も言語も違う環境に慣れるのに必死で、さらに1日3クラス担当していたので、完全に自分のキャパシティーを越えていました。疲れ、失敗の連続で何ができているのか分からない状態でした。

 そんなある日、パワーポイントのテストで、「このコンピュータークラスについてスライドショーを作成せよ」という問題を出しました。昼休みを使い教室で採点をしていると、ある生徒が私について、「先生は日本から来てくれました。今まで会った先生の中で最も素晴らしい先生です」と書いてくれていました。

 張りつめていた感情が緩み、思わずモニターが涙でにじみました。思い返すと、それは最初、コンピューターの電源の入れ方も知らなかった子の答案でした。これからはこうやって喜びに目を向けながら乗り越えて行けということなのかなと思いました。

 あれから100人を超える生徒を担当してきました。幾つかの思い出に残る瞬間は、私の心の最も大切な場所に置いてあります。今でもできることを探し続ける頼りない毎日ですが、私や仲間たちが残そうとしている、いつか消えてしまうかもしれない足跡が、ケニアの子どもたちの未来につながっていくように願わずにはいられません。残り任期の1年2カ月、コンピューターを学ぶ生徒のように、私もまた恐れずに新しい日々に学び続けます。

 中村文亮(なかむら・ふみあき)さん 大学卒業後、金融機関で勤務。システム開発の部署に配属され、プログラミングを学ぶ。2018年10月から青年海外協力隊員としてケニアへ派遣。職業訓練所でコンピューターの基礎を生徒たちに指導する。岐阜市出身。31歳。


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