ふるさとへの便り
IT技術で交通改革
シンガポール

2019年11月01日 09:14

セントーサ島内を走る自動運転シャトルバス=シンガポール

セントーサ島内を走る自動運転シャトルバス=シンガポール

 史上初の米朝首脳会談が開催されたセントーサ島は、ゴルフ場やテーマパークなどがあるシンガポールの人気の観光地です。この島で先日、実証実験が進む自動運転シャトルバスに乗車してきました。バスの運行時間は平日の午前10時~正午、午後2時~同4時の計4時間で、5・7キロのルートに七つの停留所があり、バス4台で運行。スマートフォンの専用アプリか、対象区間に設置してあるキオスク端末から予約し、11月中旬までの実証実験中は無料で乗りたい時に呼び出すことができます。

 各車両には緊急時に手動運転に切り替えるためのドライバーが同乗しますが、ハンドルは握りません。他にもスタッフが乗車し、運行管理と乗客の安全に注意を払います。バスはセンサーなどで周囲の状況を把握し、路上駐車の車両を避けたり横断歩道を渡る歩行者を認識して停止したりしましたが、センサーの精度が高すぎるのか、ステアリングは小刻みに修正を繰り返し、歩行者感知による過度な急ブレーキがありました。細い道での擦れ違い時は最徐行により後続車の渋滞も発生しましたが、安全であることをはっきり感じることができました。

 今後、自動運転バスを交通手段として実用化するためにはインフラ整備、安全確保のルール作りが必要です。実証実験は、中心部の観光スポットの巨大植物園ガーデンズ・バイ・ザ・ベイで行われたほか、最先端技術の研究施設が集まるシンガポール西部、南洋工科大学のキャンパスでは専用のコースを設けて自動運転バスの試験走行が行われており、安全性、信頼性の高い車両運用を目指しています。

 シンガポールのリー・シェンロン首相は2014年からデジタル技術を活用したスマートネーション構想を掲げました。国がデータの活用を都市計画に組み込むなど交通改革を主導しており、ルールを変える柔軟さとスピードの速さに政府の決意を感じます。日本でも各地で次世代の移動サービス「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」の実証実験が動き出しています。ともに高齢化という課題を抱える中、日本では過疎地で移動手段を確保する解決策として期待が高まっています。

 スマートシティーに向けた動きが本格化しているシンガポール。街全体が実験の場であり、中心部マリーナベイでは先日、「空飛ぶクルマ」の試作機も飛びました。弊行事務所の近隣で次世代モビリティーの将来像を見ることができます。シンガポールにお越しの際は、ぜひ弊行事務所をご活用ください。

 富田邦裕(とみた・くにひろ)さん 十六銀行シンガポール駐在員事務所長。2001年入行、主に愛知県内店舗・本部にてコーポレート向け業務に従事。18年7月にシンガポールへ赴任。同県一宮市出身。


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