ふるさとへの便り
日本語の継承に注力
ブラジル

2019年11月22日 09:26

移民者インタビューの様子=ブラジル

移民者インタビューの様子=ブラジル

 私はブラジルの首都・ブラジリア連邦区内の端っこの小さな町、ブラズランディアで日本語教師として活動しています。セラード地帯(熱帯サバンナ)に位置し、最近まで続いていた乾期には、雨が降らない日が連続100日を超えたとニュースで言っていました。そんな、かつては「不毛の大地」と呼ばれていたこの場所にあって、私の配属先であるアルカージ日本人会は農家の方が多く、イチゴ祭りやゴイアバ(グァバ)祭りを毎年主催するなど、地域農業を引っ張る存在です。

 会が運営する日本語学校では移住学習の一環として、昨年度から「移民者インタビュー」のイベントを定期的に行っています。移民1世のおじいちゃん、おばあちゃんたちを学校に招き、それぞれの歴史を話してもらうというもので、生徒たちは毎回熱心に耳を傾けています。また、他の隊員と協力して、ボリビアの日本人移住地の生徒と、お互いに学んでいる日本語で文通もしています。「あなたはどうして日本語を勉強していますか」。初めて手紙を書いたこちらの生徒たちが"外国から"届いた返事を見つめる瞳は、一瞬キラッと輝いたように見えました。

 日本からこんなにも離れた場所で目指される「継承」に貢献したいと願い、日系社会青年海外協力隊員として来たブラジル。日本で生活している時には全く知らなかった世界ですが、日本人移民の歩みに触れるたび、私はいつも感動を覚えます。これまで、さまざまな事情で日本語学校を辞めてしまう生徒を見てきましたが、日本語が話せても、話せなくても、日本文化や日本的な何かを自分の中で大切に持っていてほしい。未来をつなぐ子どもたちには、日本とブラジルだけでなく、日本からこの土地へやって来た人々の思いをつなぐ懸け橋になってほしい。

 父母、祖父母、曽祖父母...みんなの思いをつなぎたい―。これが、私が継承日本語教育に引き付けられる理由です。なぜ日本語を学んでいるのか? この問いへの答えを生徒と一緒に探したいと思っています。

 福田裕子(ふくだ・ゆうこ)さん 大学院修了後、千葉県立高校英語教師を経て、2018年1月より日系社会青年海外協力隊員としてブラジルへ派遣。日本語学校で日系人子弟、ブラジル人の子どもに日本語を教えている。岐阜市生まれ。28歳。


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