ぎふ財界人列伝 ぎふプラスチック工業編 この道を行く
駅前再開発、環境を前面

  • 環境に配慮し、ビルの西側壁面が緑化された岐阜プラスチック工業本社などが入居する大岐阜ビル=6月
  • 岐阜市の岐阜駅前再開発の起爆剤になった大岐阜ビルの竣工式でテープカットする理事長の大松利幸ら関係者=2005年
  • 壁面緑化が評価され受賞した壁面・特殊緑化大賞の盾

(7)大岐阜ビル

 県都岐阜市の表玄関、JR岐阜駅前に2005年5月完成し、岐阜プラスチック工業とグループ会社の一部の本社やテナントが入居する「大岐阜ビル」。岐阜駅前再開発ビルの第1号として、中心市街地の活性化に貢献している。

 大岐阜ビルの建設に際し、当時社長の大松利幸は「まちづくりは、都市機能の付加価値を上げること。行政と協力してつややかな街をつくりたい」との思いを胸に刻み、本社ビルとなる再開発事業を進めた。

 建設地には岐阜プラが取得していた同名の雑居ビルが建っていた。建設後30年以上が経過し、老朽化が進んだため建て替える際に周辺も巻き込んで市街地再開発事業として建設が計画され、事業主体となるJR岐阜駅前東地区市街地再開発組合が設立された。利幸は理事長としてビル建設をけん引した。

 03年12月に工事着工。地上12階、地下1階、延べ床面積1万4300平方メートルのオフィスビルには、地方都市で成り立つとアピールして県と同市が連携して誘致した保険会社のコールセンターや企業オフィス、街の機能として必要な医療モールなどが入居した。完成後、岐阜プラがビルを買い取りグループ会社の大岐阜ビルが管理している。

 環境対応に配慮し、国土交通省の先導型再開発緊急促進事業のうち環境対応促進型事業の採択を受けた。県内のオフィスビルでは第1号だった。ビルの西側壁面の幅約10・5メートル、高さ約35メートルに10種余の植物を植えて壁全体を緑化し、屋上に開設した庭園、ビル1階西側のポケットパークと調和させた。当時は珍しいビル緑化で、景観に癒やしを演出する一方、壁面の温度上昇を緩和した。この取り組みは、都市緑化技術開発機構主催の屋上・壁面・特殊緑化技術コンクールで県内初の最優秀の壁面・特殊緑化大賞・環境大臣賞を受賞し、評価された。

 大岐阜ビルは、環境に優しいオフィスづくりに取り組み、11年には屋上に設けた太陽光発電設備でビル内向け電力の供給を始めた。駅周辺のオフィスビルでは初の試みで、112枚の太陽光発電パネルで年間7900キロワットの電力を発電し、ビル全体の年間消費電力から見ると、ごくわずかだが、グループ全体で取り組んでいる課題のエコ対応をアピールした。

 他にもエコオフィス運動の一環で、廃棄物計量システムを使った廃棄物の削減、リサイクルの推進に取り組んでいる。1階の廃棄物集積所で廃棄物を計量して記録し、管理する。バーコードシールをごみ袋に貼り、テナントごとの排出量を記録し、量に応じて処理費を徴収する仕組み。テナントは廃棄物を減らせば、経費を削減できるメリットがある。

 岐阜駅前再開発はその後三つの再開発ビルができ、JRと名鉄の駅とも歩行者専用通路のペデストリアンデッキで結ばれ、人の往来が便利になった。JR岐阜駅北口駅前広場で整備された岐阜市の"杜の中の駅"とも調和した。大岐阜ビルは駅前再開発の先陣を切り、交流人口増でにぎわい、市街地活性化の起爆剤の役割を果たした。(敬称略)


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