白菊の記憶 飛騨川バス転落事故から50年
飛騨川の記憶、次代へ 遺族ら「風化させない」

2018年08月21日 13:57

  • 飛騨川バス転落事故から50年の慰霊法要を前に、慰霊塔に花を手向ける遺族=18日午前10時26分、加茂郡白川町河岐、天心白菊の塔
  • 慰霊法要後、事故現場で手を合わせる遺族の佐藤和恵さん(奥)ら=同日正午、加茂郡白川町

 飛騨川バス転落事故から50年となった18日、岐阜県加茂郡白川町に慰霊に訪れた遺族は、半世紀という長い月日をかみしめつつ、事故の記憶を風化させない誓いを新たにした。

 「ここへ来ると(事故が)昨日のことのようで胸が痛む」。堀糸枝さん(86)=愛知県豊田市=は、4歳上の姉・二宮幾枝さんを事故で亡くした。遺体は見つからず、飛騨川は姉が眠る地だ。年2回のお参りで「姉に会いに来ている」と話す。姉は夫と子2人の4人家族で、全員が犠牲に。今も国道41号を通り、車窓から飛騨川を目にするたび「この川を流れていったのか」とつらさがよみがえる。

 同じ団地に住む父方の伯母といとこを失った佐藤和恵さん(54)=豊田市=は、楽しそうにバス旅行へ出掛ける2人の姿が目に焼き付いている。当時4歳。「今度は一緒に行こうね」と声を掛けられたのが最後の記憶だ。父親が他界してからも毎年欠かさずお参りを続けてきた。風化が進む現状に、「事故を知らない子どもたちの世代にも、ちゃんと伝えたい」と力を込める。法要後、事故現場まで歩き、花を手向けて手を合わせ祈った。「幸せでいられるのはおばちゃんとまー兄ちゃん(いとこ)のおかげ。安らかに眠ってね」

 母親=当時(31)=を亡くした西川欣吾さん(55)=愛知県尾張旭市=は、法要に先立ち、今は亡き父親と共に事故現場から持ち帰った石8個を元の場所に戻した。2年前に他界した父親はその石を自宅の庭に並べ、花壇を造っていた。まだ実家に90個近くある。西川さんは「法要に来る動機にもなるので、毎年石を戻したい」と話した。

<8月19日朝刊掲載>

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