教えてホームドクター

胃がんの放射線治療

2019年05月20日 09:42

  • 画像1・胃がんの内視鏡画像。出血を伴った潰瘍を認める
  • 画像2・照射1カ月後の画像。腫瘍が縮小

放射線治療医 田中修氏

 こんにちは。五月晴れの気持ちのいい日が続いていますね。今回は、放射線治療はどれだけ楽にできるかを紹介したいと思います。まずは放射線治療を受ける姿勢です。基本的に仰(あお)向けに寝て、治療する場合が多いです。乳がんは手が下がっていると腕に放射線が当たってしまうので、寝ながら腕を上げた格好でする場合もあります。いずれにせよ、数分~10分程度寝ているだけで治療が終わります。この楽さが外来通院でも無理なく、治療ができる一番の理由です。

 放射線治療は、さまざまながんに対して使われます。完治を目指す場合や、症状を緩和する目的で使われることもあります。

 胃がんについて、さらにお話ししたいと思います。胃がんの治療方法の第一選択は手術です。また進行している状態では、抗がん剤も併用します。しかし、進行胃がんにおいては、出血して貧血が進んでいく場合があります。そのような場合は、手術で腫瘍だけを避難的に切除したり、内視鏡で焼灼(しょうしゃく)する場合があります。それでも出血が止まらない場合や、手術が体に負担が大きすぎてできない時は、止血のために放射線治療を行います。通常5~10回に分けて照射します(当院では5回)。

 治療中は、放射線の影響で気持ちが悪く感じる患者さんもいますが、治療が終われば普通の状態に戻ります。治療後1~2週間で出血が止まることが多く、輸血も不要になるため退院することも可能です=画像1、2=。

 ただ、この治療効果は永遠に続くことは無く、たいてい3~4カ月で再出血する場合があります。しかし、限られた期間でも家に戻って、好きな時間を過ごすことができるのは、大変意味あることだと考えています。

 昨今は緩和ケアという言葉が浸透しています。緩和ケアはみとるだけではなく、このように放射線治療を使えば、もっと患者さんの生活の質が上がり、残された時間を有意義に使えると思います。

(朝日大学病院放射線治療科准教授)

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