教えてホームドクター
開頭手術その1
皮膚切開目立たなく

2017年05月01日 13:15

脳神経外科医 吉村紳一

 こんにちは、吉村です。この欄では「脳卒中予防に関する最新情報」を紹介しています。皆さん、一緒に勉強しましょう! 今回は「開頭手術」についてお話しします。

 さて、これまでは血管内手術について紹介しましたが、脳の手術の標準法は開頭手術です。「そんなこと、言われなくても知っている」という声が聞こえてきそうです。しかし、開頭手術といっても、イメージがわかない人もいると思います。今回から順に紹介していきたいと思います。

 まず、皮膚をどう切るかという問題があります。開頭手術にはさまざまな方法がありますが、よく行われる場所は大体決まっていて、こめかみ、おでこ、耳の後ろ、頭の真後ろが代表的です。どの場合にも、傷が見えないように皮膚は髪の毛の中を切ります。髪の毛で傷が隠れるからです。美容的な配慮なのですね!

 ところで「頭の手術では髪の毛をそる」というイメージがあると思いますが、最近では全く髪の毛はそりません。バリカンで刈ることもしません。髪の毛、分け目を消毒すれば、そこを切って手術しても全く問題が無いことが分かってきたからです。

 むしろ、カミソリなどでそると皮膚に細かい傷がつき、そこに菌が増殖するため、術後感染の元になるとされています。私が研修医のころは、「逆ぞりで髪の毛をきれいにそれ!」と教えられましたが、全く間違っていたわけです。

 このような例は枚挙にいとまがありません。これは医療技術が、経験の積み上げで発達してきたことによるものです。ですから、その進歩のためには、「常識を疑う」ことも重要なのです。

(兵庫医科大学脳神経外科主任教授、大垣徳洲会病院外来担当)


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