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急性膵炎
膵液流出障害で腹痛に アルコール、胆石が主な原因

2018年11月26日 10:09

消化器内科医 加藤則廣氏

 急激な腹痛を来す病気の一つに、膵臓(すいぞう)に急に炎症を来す急性膵炎があります。今回は急性膵炎についてお話しします。

 膵臓は胃の後ろにあります。膵臓の主な役割は食物を消化する膵液を作って十二指腸内に出す「外分泌機能」と、ホルモンであるインスリンを生成・分泌する「内分泌機能」です。インスリンが不足したり、十分に効果が発揮できない状態になると糖尿病を発症します。

 急性膵炎の主な症状は、急に腹痛が出現して吐き気や嘔吐(おうと)、発熱、背部痛を来します。腹痛はかなり強くて持続性があり、救急車で病院に搬送されてくる患者さんも少なくありません。急性膵炎は血液検査で血清アミラーゼ値やリパーゼ値が高値になり、また重症度はCTで診断します。

 急性膵炎の成因は、何らかの原因で膵液を十二指腸内にスムーズに出せない状況で、消化酵素を含む膵液が膵臓を障害することにより発症します。国内で一番多い成因は飲酒で、アルコール量として48グラム以上で発病するとされ、2本から3本以上の缶ビールの飲酒がアルコール性膵炎の要因になります。

 次に多いのは胆石性膵炎で、総胆管にある結石が膵管の出口をふさぐことが原因です。内視鏡的に総胆管内の結石を取り除く治療を行います。また良性や悪性の腫瘍性病変が膵管をふさぐことでも発病します。一方、血中の中性脂肪が1000~2000mg/dL以上の家族性高脂血症も誘因になり、また遺伝性膵炎も知られています。

 急性膵炎の治療は入院加療が原則です。軽症では絶食と点滴を行って、タンパク分解阻害剤などの投薬をします。一方、重症になると膵臓だけでなく、他の臓器にも障害を引き起こします。時に呼吸機能低下や腎機能低下などを来して、24時間の人工透析が必要なこともありICUなどで集中管理を行います。

 また経過中に合併症として膵化性嚢胞(のうほう)が出現することもあり、そこに感染を引き起こして膿瘍(のうよう)を形成して被包化壊死(えし)(WON)と呼ばれる重篤な病態を引き起こすこともあります。そのために急性膵炎の治療には、抗生物質の投与が必要です。膵化性嚢胞やWONの治療は外科的手術に加えて、最近は胃壁から内視鏡的にドレナージしたり膿瘍を除去する治療法も行えるようになりました。

 急性膵炎にならないためにも、適度のアルコールがお勧めです。また胆石のある方は医療機関での早めの相談が必要です。

(岐阜市民病院消化器内科部長)

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