教えてホームドクター
開頭手術 その10
小さな傷でバイパス術 患者の体への負担を少なく

2019年02月11日 10:45

脳神経外科医 吉村紳一氏

 こんにちは、吉村です。この欄では「脳卒中予防に関する最新情報」を紹介しています。皆さん、一緒に勉強しましょう! 今回は小さな手術についてお話します。

 脳の手術にもいろいろな方法があります。開頭手術や血管内手術があることは、ここで紹介してきましたが、現在でも血管内治療が適応できず、開頭手術を行うしかないこともあります。

 開頭手術の多くは血管内治療と同等か、それ以上に安全性の高いものもありますが、一般には大掛かりなほど体への負担も大きくなります。ですから高齢者や持病のある人では、合併症を生じやすくなりますし、術後に美容的な問題となることもあります。もし小さな傷で済めば、それに越したことはありません。では、開頭手術で傷を小さくすることは可能なのでしょうか?

 答えは、「一部の手術では可能」ということになります。私たちがよく行うのは、傷の小さなバイパス手術です。従来、バイパス手術で2本の血管をつなぐ場合には、大きな開頭が必要とされていました。私は先人の手術を自分なりに改良して、患者さんの体の負担が少ない、小さな傷から2本の血管をつなぐ低侵襲バイパス術を開発しました=図=。

 この方法は自分が思っていたよりも多くの患者さんに適応可能で、ホームページなどを見て、遠方から治療を受けに来る患者さんもいます。

 他にも動脈瘤(りゅう)のクリッピング術や内視鏡手術を、この方法で行うこともあります。ただし、小さな傷からうまく手術を行うには、高い技術や知識が必要です。患者さんの体に優しく、しかも安全で確実な手術を行うため、今後もさまざまな工夫を行っていきたいと思います。

(兵庫医科大学脳神経外科主任教授、大垣徳洲会病院外来担当)


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