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膵胆管合流異常症
繰り返す腹痛から診断 胆嚢、胆管がん併発も多く

2019年05月06日 09:15

消化器内科医 加藤則廣氏

 小児期や成人で腹痛を来す病気の一つに、膵胆管(すいたんかん)合流異常症があります。膵臓(すいぞう)で作られる消化酵素の膵液の消化管への通り道である膵管と、胆汁の通路である総胆管が十二指腸壁で合流する際に発生する先天奇形の疾患です。特に10代から20代にかけては、繰り返す腹痛で医療機関を受診し、診断されることが多い病気です。また成人になって胆嚢(たんのう)がんや胆管がんで診断されることも少なくありません。今回は、膵胆管合流異常症について説明します。

 胆汁は肝臓で作られる消化酵素で、胆嚢で濃縮されて総胆管を通り、十二指腸から消化管内に分泌されます。一方、膵液は膵臓で作られて膵管を通り、やはり十二指腸内に分泌されます。解剖学的には総胆管と膵管は十二指腸壁内で合流します。合流部にはオッディの括約筋(かつやくきん)があって、胆汁の膵管内への流入とともに、膵液の総胆管内に流入を防止する仕組みになっています。

 しかし、先天的な何らかの理由で、両者が十二指腸壁外で合流すると、膵液や胆汁がそれぞれ胆管内や膵管内に相互に流入しやすくなり、胆管炎や膵炎を発生する状況が出現します。

 一般的には膵管内圧が胆管内圧より高いために、膵液が胆管内に流入し胆管炎を引き起こします。一方では、膵液が十二指腸への流出が抑制されて膵炎症状が発生したりします。いずれも繰り返す腹痛の成因となります。

 膵炎は成人より小児で合併する率が高いとされていますが、膵石や胆石が併存することも多いようです。膵胆管合流異常症の発生は人種差や性差があり、欧米人より東洋人種に多く、また女性は男性より3倍多いと報告されています。膵胆管合流異常症は、総胆管が拡張する先天性胆管拡張症も併発していることが少なくありませんが、必ずしも拡張するわけではありません。

 膵胆管合流異常症の診断には、血清アミラーゼ値が高値になるなどの血液検査や、腹部CTや超音波検査などの画像診断が有用です。また胆管や膵管を映し出すMRCPも用いられます。胆管拡張型でも、非拡張型のいずれも、胆管がんや胆嚢がんが発生する頻度が高いことが臨床的に問題です。

 治療は外科手術が推奨されます。膵液と胆汁がそれぞれ、胆管内や膵管内に流れないようにする分流術が行われます。

 比較的に若年者で繰り返す腹痛を来すことがあれば、消化器内科を専門とする医療機関を早めに受診することをお勧めします。

(岐阜市民病院消化器内科部長)


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