教えてホームドクター
乳がん検診
2種類の検診から選択 検査の内容や対象年齢に違い

2020年04月01日 10:35

乳腺外科医 長尾育子氏

 今回は、乳がん検診のお話です。「お乳にしこりがあることに気付いたので乳がん検診を受けた。結果は精査の必要なしだったので安心した」-こんなエピソードを聞くことがありますが、これは安心できない事態かもしれません。乳房のしこりなどの異常に気付いた場合は、乳がん検診ではなく、乳腺の診療をしているクリニックや病院の外科・乳腺外科を受診し精査を受けるのが適切です。乳がん検診は自己チェックで異常がない方が対象であるということはとても重要なポイントです。

 さて、乳がん検診は大きく分けて2種類あることをご存じでしょうか。国が公共的な医療サービスとして行う対策型検診(住民検診)と、個々の判断で受ける任意型検診です。後者は人間ドックや職場検診と呼ばれており、費用は原則自己負担(職場検診では職場が負担)です。双方の内容は表に示したような特徴があり、対象年齢や検査の内容に違いがあるので、自分が受けるのはどちらかを確認してみてください。

 自治体から受診の案内が来る対策型検診のメリットは、何といっても近所で簡単に、安価で受けられることです。一方、任意型検診のメリットは対象年齢の制限がなく、人間ドックに含まれる場合には他の検査と一緒に受けられることです。

 基本的に、実施する画像検査は両検診ともマンモグラフィーです。マンモグラフィーは乳房のエックス線検査で、圧迫板を用いて乳房を広げ固定した状態で撮影します。乳がん死亡率減少の効果が証明されている優れた検査ですが、正常な乳腺組織が白く描出される場合(若年層に多い)は中の異常所見を見つけにくいという特徴もあります。任意型検診を受けられる20~30代の方は、無条件にマンモグラフィーを選ぶのではなく超音波検査を選択するのも良い方法です。

 乳がん検診では小さながんも見落とさず発見してほしい、これは誰もが希望することです。良い検診とは何でしょうか。乳がんを見落とさずに見つけることと、乳がんでない人をはっきり精査の必要なしと判定すること、この両方を兼ね備えてこそ良い検診だといえます。実際には乳がん検診で要精査と判定された方で、病院で再検査の結果、本当に乳がんと診断されるのは25人中1人くらいです。

 検診の結果が要精査でも、再検査の結果、がんではなかったという経験をされる方が多いのですが、「要精査という結果は、見るだけでつらいし再検査も大変なので、できれば過剰には出してほしくない」、これは当然湧いてくる思いでしょう。対策型検診が原則、マンモグラフィー単独で行われているのは、超音波検査などの詳しい検査をすればそれだけ疑い所見も多くなり過剰な要精査判定が増えてしまうためでもあります。

 岐阜県における多くの検診施設では、検診マンモグラフィーの読影は原則2人の読影医によるダブルチェックがされ、以前の記録との比較読影もするなど、良い検診を行うための精度管理が進められています。

(県総合医療センター乳腺外科部長)


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