教えてホームドクター
体内からの放射線治療
がん患部に直接照射 副作用が少なく、入院期間を短縮

2020年04月15日 10:44

放射線治療医 田中修氏

 こんにちは。今回は、体の内部から放射線治療をする方法について紹介したいと思います。体の中から治療する方法は、さまざまながんに使われますが、日本でも急増している子宮頸(けい)がんと前立腺がんで説明します。

 子宮頸がんは最近若い患者さんも増えており、治療方法としては手術、放射線治療、抗がん剤があります。早期がんの場合は手術と放射線治療は同程度の治癒率ですが、進行がんの場合は放射線治療(抗がん剤治療併用含む)が標準治療となります。

 子宮の場合はがんを目で見て診断することができるため、膣(ちつ)から放射線を発する金属の棒(直径4ミリ程度)を挿入し、できるだけがんに近接して放射線を当てることができます=図1=。この方法をラルスといいますが、外から照射する方法と組み合わせることによって、子宮周囲の膀胱(ぼうこう)や直腸、小腸に照射される放射線を減らすことができます。そのため副作用を少なくして治療することが可能です。

 そして前立腺がん。こちらは高齢者に多く見られるようになりました。治療方法として手術、放射線治療、ホルモン療法があります。手術と放射線治療は治癒率も副作用もそれほど変わりはありません。手術に関してはロボット手術ができるようになったため、これまでより入院期間が短縮されています。放射線治療は主に二つの方法があります。外から照射する強度変調放射線治療という方法と、前立腺の内部に直接放射線を発する小さな金属(5ミリ×1ミリ)を穿刺(せんし)針を使って50個ほど埋め込む、低線量率密封小線源治療という方法です=図2=。後者の方法の利点は局所麻酔で3時間ほどで治療が終わり、数日後には退院できるということです。ただし進行がんには向いていない場合もあります。

 このように体の内部から照射することで、副作用を少なく、治療期間を短くすることができます。日本では手術が行われる場合が多いのですが、海外では半々ぐらいの割合で治療方法が決定されます。がんと分かったとき、放射線治療医にも聞いてみることが大事です。

(朝日大学病院放射線治療科准教授)


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