県美は今
感じたことを探り、表す 「Such Such Such」

2020年05月27日 09:29

 「Such Such Such(あんな そんな こんな、以下『Such』)」は、岐阜県美術館館長日比野克彦のアートコミュニケーション作品だ。「Such」では、複数の美術作品を鑑賞し「自分が感じていること」を探り、表す体験ができる。2016年の発表以来、多くの来館者が当館で体験している。

 さて、あなたは今、展示室でオディロン・ルドンの「アポロンの戦車」と向き合っているとしよう。あなたは作品を鑑賞しながら「何かを感じている自分」がいることに気がつくだろう。この作品について予備知識がなくとも、作品から受け取れる情報、今の気分などさまざまな要素が混ざり合うことで、心が何かを感じる。それは一体「何」なのだろうか。

 「Such」の対象となっている作品の近くには、石や流木などの自然物、紙切れや時計などの身近な人工物がずらりと並べられている。あなたはそれらから「自分が感じていること」に合うと思う物を一つ選び取る。「『アポロンの戦車』を見ていると心がざわざわする。このくしゃくしゃに丸められた紙くずのような感じだろうか」といったように。そうして作品とは無関係だった物は、作品と自分をつなぐ橋渡し役となる。言葉で表しきれない微妙な感覚を託すこともできる。

 対象作品を3点見れば、手元には三つの物が集まる。最後にそれらを見ながら、自分が感じたことを1枚のスケッチにまとめよう。完成したスケッチと物を展示するコーナーでは、十人十色の感じ方に出会うことができる。ここまでたどり着いた時には「あんな感じ、そんな感じ、こんな感じ」と、自分の感じ方が見えてきているかもしれない。「Such」における作品鑑賞の主役は、作品ではなくあなた自身なのだ。

 現在、当館では感染症対策のため体験を休止しているが、自宅にいながら「Such」が体験できるオンライン企画「#SuchatHOME」を開催中だ(6月21日まで)。当館Webサイトからアクセスして、あなたも自分の感じ方を探す旅に出よう。

(県美術館普及業務専門職・國枝彩帆)

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