NIE アドバイザー通信

NIE実践 内容とアプローチ方法重要

2018年04月30日 11:32

  • 新聞を使った授業=東京都目黒区、都立国際高校
  • 新聞を読ませる工夫=同

東京都立公民科社会科教育研究会事務局長・都立国際高校主任教諭 宮崎三喜男

 「新聞を使った授業を行いたい」。教師であれば、このように思ったことが一度はあるのではないだろうか。しかし、どの記事を選んだらいいか、どのように実践したらいいのか、実際に授業計画を考えると、なかなか前に進まないという声も多く聞く。高等学校で政治・経済を担当する私も若い頃、同じような悩みを抱いていた。そんな時に、知り合いの新聞社の方が「正しいNIEのやり方はない。どんなやり方でも正解」という言葉をかけてくれた。そう、NIEにマニュアルなどない。授業者がやりたいと思ったことを、自由にやることができる教育なのである。

 とはいえ、自由というほど難しいことはない。そこで、NIEを実践するときに心がけていることを紹介したいと思う。

 コツは「無理せずできる時にやる」ことである。教師自身が楽しくて面白いと思った記事を見つけた時、伝えたいと思った記事やニュースと出合った時、定期テスト前後の時間に余裕が生まれたとき、そんな時ほど、遊び心が加味され、いい授業へと導いてくれる。ただ"新聞を読め"ではなく、"読ませる工夫"をすると生徒たちは夢中で新聞を読む。これは筆者が経験的に学んだことである。だからこそ子どもたちを引きつける内容と、アプローチの方法が重要となる。

 例えば、見出しを考える授業の内容はこうだ。まず導入として「新聞ができるまでの流れ」を全員で確認した。取材記者は記事を書くが、生徒たちは見出しまでも取材記者が書くと思っていたようだ。実際は、見出しはレイアウトを担当する整理部記者が作成することを説明し、生徒に整理部キャップの役割を与え、見出しを考えてもらう。

 「夏の甲子園で初戦敗退が続く秋田県。13連敗を阻止するべく県議会が予算を付け、強化作戦に乗り出した。その是非が問われながらも発進した事業に、期待は高まる」

 この記事を読ませ、見出しを空欄にし、生徒たち一人一人に考えさせ、その後グループで協議、発表させる。見出しとともに、プレゼンテーションも評価対象にし、最後に投票を行いベストワンを選出する。

 見出しを付けるには、新聞記事を読み込まなければならない。記事の内容をよく理解し、大事なポイントを抽出して、さらに短い言葉で表現する。ここに本授業の一番のねらいがある。見出しを付け、発表するために記事をじっくり読む。授業方法の工夫によって、新聞離れと言われている子どもたちにも、新聞記事をじっくりと読ませることができるのである。

 なお、授業のまとめとして、2カ月後の新聞を配布した。そこに、14年ぶりの初戦突破を報じる記事に夢中になって読む子どもたちがいた。後日談だが、一人の生徒が、1年後の秋田県選出の高校の結果がどうなったのかを新聞から探したという報告を受けた。

 新聞教材の魅力の一つに、教材の選定や授業の方法を工夫すれば、どこの学校でも実践できる点があると考える。新聞離れが叫ばれているが、授業者の工夫次第でいかようにも授業に活用することはできるであろう。

 みやざき・みきお 専門は政治・経済。日本新聞協会のNIE教育フォーラムはじめ文科や法務、厚労各省のシンポジウムなどで委員や講師を務め、主権者、社会保障、租税など幅広い教育分野で活躍。2017年に県NIE推進協議会が岐阜市で開いた「新学習指導要領の新聞活用セミナー」で講演した。

続きを読む