NIE アドバイザー通信
視野広げる子どもたち 社会の情報をメディアから
自分の生活と関連づけ

2017年06月26日 13:37

  • 新聞を広げて気になる記事を探す児童ら=山県市東深瀬、富岡小学校
  • 「情報を得るにはテレビか新聞か」を討論する児童ら=同

県NIEアドバイザー・奥田宣子山県市立富岡小教諭

 朝の会で行っている1分間スピーチ。毎日2人のペースで、新聞記事を紹介し、感想を交流して3カ月。記事は、個々が新聞を広げ、気になる内容を探し、切り取り、集めている。この記事選択の作業過程で、子どもたちは、自然に多様な分野の多くの記事に触れる。こうした記事収集の積み重ねにより、子どもたち自身が、社会の出来事を敏感に察知し、身近な出来事として捉え始めていることは確かである。

 事件や事故の記事を見つけると、自分たちの生活の中に危険性を感じ、避難の仕方が気になる。そこで学校で行っている命を守る訓練や交通安全教室の意味を互いに確認し合う。動物の小さな命の誕生の記事にみんなで喜び合う瞬間。仲間のスピーチにより、学級全体の意識があっという間にその記事の中に引き込まれていく。

 子どもたちは、感想を直感的に捉えつつも、自分の生活と密接に関連づけて考えている。新聞記事の魅力は、子どもの目を社会に向けさせる点にある。限られた生活空間だけでなく、自分自身を記事に重ね、経験値を高めている。そんな記事との出合いの中に、夢や憧れを抱き、自分の将来を描き始める子どもたちがいることをうれしく思う。

 6年生の国語の授業「学級討論会をしよう」では、情報を得る手段として、テレビが有効か、新聞が有効か、を話題にして討論会を行った。学級26人中、テレビ16人、新聞10人という初めの主張であった。

 テレビチームは「映像と音声で誰にでもわかる」「ライブ中継は最新の情報を得ることができる」と主張。新聞チームは「見逃すことがなく、いつでも、どこでも自分のペースで情報を得ることができる」「見出しや写真、記事という形に残る紙面に、詳しく情報が載っている」と主張。テレビのよさ、新聞のよさの説得力のある主張が展開された。

 質疑応答では、新聞チームからテレビチームに対して「限られた放送時間だから、見逃すことがあるのではないか」。テレビチームから新聞チームに対して「速報としての情報が遅れるのではないか」。そこで子どもたちは、この質問こそ、両者が手を組み、互いを補っている点だと気づいた。

 テレビで見逃した内容を丁寧に見出しや写真、表やグラフを使った記事で伝えることができる新聞。また、速報やライブによって、より速く情報を世界中に伝えることができるテレビの役割。最後の主張では、互いに両者の必要性を主張していた。この討論会を通して、子どもたちは、情報を得る手段としてのテレビと新聞の役割に気づき、メディアの存在価値を確認することができた。

 情報化社会の現代、子どもたちの周りは情報が満載である。しかし、子どもたちが収集している情報は限られたものである。新聞を広げることで、社会を知り、視野を広げることができる。そして、子どもたちが描く将来像も広がってくるはずである。