NIE アドバイザー通信
「深い対話を育むNIE」テーマ
NIE全国大会宇都宮大会に参加して

2019年08月26日 08:39

  • 7月10日付けの全国27の新聞を見比べることのできる展示コーナー=宇都宮市、市文化会館
  • 岐阜のワークショップで作られた作品について全国大会で説明する渡辺裕子さん=同

 2020年度から小中高で順次実施される新学習指導要領は、「主体的・対話的で深い学び」を目指している。これへ向けて、8月1、2の両日、栃木県宇都宮市で開かれた第24回NIE全国大会宇都宮大会は、「深い対話を育むNIE」をテーマに開催。子どもたちが新聞を教材に考え対話する公開授業や、教師らの熱心な実践発表が相次ぎ、全体会、分科会を通してNIEの可能性に大いに期待を抱かせた。参加した岐阜県NIEアドバイザーの原田結花教諭(山県市立高富中)、細江隆一教諭(加茂郡川辺町立川辺中教諭)から、大会の印象や感想が寄せられた。

◆言葉伝わり深まる学び 山県市立高富中教諭 原田結花

 折しも、「新聞を読む子どもは高得点の傾向」と全国学力テストの結果が発表されたこの日、全国の新聞活用を推進している仲間と私は宇都宮の地に赴いた。

 今回の大会のテーマは、「深い対話を育むNIE」。新聞を主体的に活用し、対話につなげるためのノウハウを岐阜県の状況に鑑みて述べてみたい。

 1、まずは、新聞がある環境作り

 新聞を使った学習のためには、まず子どもたちの周りに新聞がある環境が必要である。パネルディスカッションで、新聞スクラップに家族ぐるみで取り組んでいる親子が登場した。新聞社主催の「新聞教室」に親子で参加したことがきっかけで、新聞が家族のものとなった。「インターネットやスマホでも情報を得るが、新聞は自分が知らなかったり、興味がなかったりしたことにも目を向けられる」「相手に自分の考えを分かりやすく伝えることが得意になった」とこの家族の姉妹は述べた。家庭での新聞活用を模索したい。

 次に、講演「NIEの先達大村はま」の内容から考えてみたい。三つの実践例の一つ。「花火の表現くらべ」では、隅田川の花火大会を報じた4紙の新聞記事の表現の違いを比べるもの。これらの学習には、十分な新聞資料と共に、学び方の手引きが適切に示されていた。学校においては、教師自らが新聞を手に取り、読み方、比較の仕方など学び方を例示し、対話できるだけの根拠を持つことができるような学びを創り上げていく必要があるのではないだろうか。

 会場外には、7月10日付けの全国各地の新聞が展示してあり、興味深かった。

 2、新聞で一緒に学べる人つくり

 スマホ全盛で顔を合わせず、時には仮想空間で言葉を操っている昨今。対話は、人があってこそであると思えてならない。公開授業では、小学4年生が、「あなたのお悩み解決します」という新聞記事を参考に小学2年生の悩み相談の文章を考えるという内容を行っていた。「勉強が好きになりたい」「友達と仲良くしたい」「野菜が食べられるようになりたい」などの悩みにどんな答えを書くのか楽しみである。新聞の紙面には、老若男女、いろんな世代の方の声が見つかる。その方々から学べることを一人で読んで考え、仲間で紹介し合い、また違う人に伝える。こうして学びが深まっていくのだと思った。

 新聞の切り抜きや新聞の心に残る言葉集めを不登校の子どもたちや震災後の避難所の人たちと行ったと「つぶやきNEWSッス」という実践で伺った。言葉を声にできない時が誰にもある。一人でなく、そばにいる誰かと新聞記事を手がかりに言葉が生まれるってすてきですね。

 どこにでも新聞がある環境づくり、人づくりは、スマホ全盛の時代だからこそ、今見直したいと思う。対話しましょう。

◆新聞ある環境づくりを 川辺町立川辺中教諭 細江隆一

 今回のNIE全国大会のテーマは「深い対話を育むNIE」。新学習指導要領の柱の一つが「主体的・対話的で深い学び」であることを意識したテーマであるのは、基調提案の中でも説明された。

 2日目の公開授業や実践発表、ワークショップの中に「『出前授業』の活用」「『つぶやきNEWSッス』でアクティブラーニング」「新聞記事を活用したディベートの実践」「ディスカッション&ダイアローグで意見を発信」など、「深い対話を育むNIE」というテーマに沿うものが多く、テーマを基に栃木県全体で授業実践を積んできたことを感じた。

 開会式で印象的だったのは、「新聞を定期購読している家庭ほど投票所に足を運ぶ率が高い」というデータだった。実際に調査をされた結果らしく、年度ごとに数字を挙げられたが、確かに高い数字だった。これは新聞を読むことで候補者の公約や政治の動向を知り、投票の重要性を知るからだろう、と説明された。投票できる年齢が18歳となり、学校現場でも「主権者教育」が叫ばれているが、新聞が身近にあるという環境づくりも大事であることが、データで証明された形だった。家庭にも、学校にも、新聞が常時置いてある環境を、全国的に作る必要があると感じた。

 この全国大会の2日目に「『つぶやきNEWSッス』でアクティブラーニング」というワークショップが開催された。実は4日前、岐阜市でも同じ内容で「NIEワークショップ」が開催された。ここには総勢約50人が参加したが、大変魅力的なワークショップだった。「つぶやきNEWSッス」の流れは以下の通りである。

 ①記事を持ち寄り、その内容を1分で簡単に発表し合う②模造紙にそれを貼る③自分の色ペンを決め、思ったことをつぶやきの形で書き込む④グループ内でそれぞれの記事につぶやきを書く⑤つぶやきを参考にしながら、グループで話し合う⑥他のグループの作品を見て、つぶやきを書いた付箋を貼る⑦付箋が貼られた模造紙を見て、まとめをする-。

 実際に私もやってみたが、大人である私も非常に面白かった。記事を切り抜き、意見や感想を発表したり、模造紙に貼りつけたりするのは「回し読み新聞」と同じだが、「つぶやきのレベルで書くという敷居の低さ」「自分の色ペンを決め、自信をもってつぶやきが書ける長所」「他者からつぶやきをもらうことで客観的な視点を得られる良さ」など、生徒にとってのメリットが多々あった。まさに「深い対話を育むNIE」に沿った内容で、大学生など若者が夢中になって取り組む理由がわかった。

 新学習指導要領の施行により、NIEの重要性はますます深まる。岐阜県内にもその機運が広がってほしいと思う。