NIE いま 学校で
身近に新聞深い学び 県NIEセミナー実践校が成果発表

2018年12月17日 10:24

  • 深い学びを実現するための新聞活用について意見を交わす参加者
  • NIE実践校が活動報告をしたセミナー=岐阜市柳津町高桑西、岐阜聖徳学園大羽島キャンパス

 県NIEセミナー(県NIE推進協議会主催)が先月、岐阜市柳津町高桑西の岐阜聖徳学園大羽島キャンパスで開かれ、県内小中高校のNIE実践校9校の代表教諭ほか、教育、新聞、通信関係者ら約30人が参加した。2020年から小中高校で順次実施される新学習指導要領では、全ての校種の総則に新聞などの活用を図ることが初めて明記された。セミナーでは「深い学び」をテーマに実践報告やグループディスカッションを行い、今後のNIEの在り方を話し合った。

 初めに藤井德行会長(同大学長)が「NIEは知的発展の相談役、伴走者」とあいさつ。続いて実践2年目の継続6校が活動の成果や課題などを発表。▽新聞学習コーナー設置や新聞タイムの実施(常磐小)▽新聞文字探しや新聞作り(岩野田北小)▽記事の切り抜きや新聞社主催のコンクール参加(羽島中・レポート報告)▽社会科(地理・歴史・公民)や生徒会(新聞部会)活動での実践(岐阜大付属中)▽記事の要約、感想書きや壁新聞作り(県岐阜商高)▽NIEルームの充実や新聞レシピアレンジ調理実習(城南高)-などの活動を発表。新規校3校も取り組みを紹介した。

 報告を受けて県NIEアドバイザー3人が助言。奥田宣子教諭(山県市立富岡小)は、「NIEで『どのような力が付けられるのか』を課題にするのではなく、『どのような力を付けたいのか』の視点を持ち、教師自らも主体的に取り組むことが大切。日常的に新聞に触れる子どもたちは社会に目を向け、自分の意見を持つようになる。学校から家庭へとNIE活動をつなげ、日常で新聞に親しむ環境を整えたい」と呼び掛けた。

 細江隆一教諭(美濃加茂市立西中)は、新聞に掲載されたレシピをもとに生徒と教師がアレンジ調理に挑んだ城南高の実践キーワードを「楽しくわくわく」と例えて評価。自ら教え子と取り組んだ壁新聞作りでは「記事を読むだけでなく、新聞を作ることで著作権や表現の仕方などを改めて学んだ」と振り返り、生徒と共に教師が取り組む実践の魅力にも触れた。

 原田結花教諭(山県市立高富中)は、「児童生徒が選んだ1面記事を校内に掲げたり、創作新聞を多くの人の目に触れる場所で披露したりしてはどうか」と新聞に親しむ場づくりの一案を提示。さらに来年のえと・イノシシの置物を新聞で作って持参し、「作業途中で記事を読み、仲間と会話を弾ませたり、親子や地域活動につながったりする」と新聞活用のアイデアも伝えた。

 続いて行われたグループディスカッションでは、新学習指導要領に盛り込まれた「主体的・対話的で深い学び」を達成するための新聞活用法▽担当教師に限定しない組織的、意図的な取り組み▽教科の枠を超えて実践▽小中高校、大学、社会人への連携▽デジタルと新聞との融合-などについて意見が出された。さらに、「生きていく力の育成の入り口が新聞」「ネット社会で多様な情報があふれる中、情報の真偽を見極める能力を身に付けたい」「『18歳成人』で多くが高校在学中に成人になる。教育現場で新聞を活用するために新聞社と教員が意見交換する場がもっとあっていい」という声も上がった。

 実践報告を受けて富山哲成県教育委員会学校支援課課長補佐は「児童生徒が自ら新聞活用の良さを体感すれば活動は継続できることが分かった」、清水昭治県小中学校長会専任副会長(大垣市立興文中校長)は「新学習指導要領への移行期間なので、新聞の可能性を探りながら各校の指導計画を工夫してはどうか」、折戸敏仁県高校長協会副会長(県立岐阜高校長)は「実践を小中高校、大学、社会人へとつなげたい。大人も問題解決のためにいろいろな情報を柔軟に取り入れていく姿勢を持ち続けなければならない」、新聞社側は「今後も学校と連携し、活動の充実を図りたい」と話した。

◆新規実践3校発表内容

 桑原学園(羽島市) 大井由莉菜教諭
 1~9年生全ての児童生徒が新聞を身近に感じられるよう、図書館や廊下にコーナーを設置。4年生は各紙を読み比べることで興味を引き出した。7、9年生では社会科の授業の導入で記事を活用し、社会への関心を高めた。新聞社からゲストティーチャーを招いた授業では、身に付けたい力について話し合う必要性を感じた。
(実践担当者は他に岡田真暢教諭、井上智嗣教諭)

 岐阜聖徳学園大付属中(岐阜市) 不破幸雄教頭西本崇志教諭
 興味のある新聞記事について、1、2年生は感想をまとめられるようになった。2年生では意見も述べられる生徒を増やしたい。国語科では1年生が社会的テーマの新聞を制作。一斉指導は難しく、複数の教員で行うことが必要だ。3年生は社説を読み比べたが要約に時間を要し、普段から社会問題に目を向ける大切さを感じた。     (実践担当者は芥川千里教諭)

 斐太高(高山市) 矢野正人教諭
 1年生の朝活動として、ジャンルが偏らないよう教員が選んだ新聞記事の要約や感想を書き、まとめる力を身に付けている。2年生はスーパーグローバルハイスクール事業と連携し、地域活性化を考える学習で新聞を活用。参考になった記事に付箋(ふせん)を貼って情報共有しており、地域の人たちへの取材など今後の活動に生かしたい。
(実践担当者は日比野恭一教諭)

◆実践2年目の6校発表内容

 常磐小(岐阜市) 中今純一教諭
 新聞を読み、学ぶ習慣づくりを目指して、国語辞典も備えた新聞学習コーナーを設置。朝活動で記事の視写や意見交換を行う新聞タイムを導入し、全学級で新聞を活用した研究授業を行った。各学級では、注目記事の紹介、壁新聞の制作などにも取り組んだ。新聞に何度も触れることで活字や長文読解に慣れ、学力も向上。より良い見出しを考える話し合いなどを通して、本校が取り組む「伝え合い、学び合う力の育成」ができた。

 岩野田北小(岐阜市) 堀本泰寛教諭
 今年は全学年で実践し、1年生は新聞紙面の中で習得した文字を探し、3年生はスーパーで見学したことを新聞にまとめるなど、各学年に応じた学習を展開。6年生は講師による出前講座で読み手を意識した新聞制作を学び、修学旅行をテーマにした壁新聞作りに取り組んだ。人権教育の推進校として互いを思いやる心を育んでいる。新聞作りでは仲間の意見も聞いて自分の考えを書いていくといったNIEによる活動の成果を大切にした。

 羽島中(羽島市) 吉田昌知教諭
 アンケートにより、新聞を「全く読まない」という生徒が約6割という実態を把握。多目的室に新聞を設置したり、毎週各班に7日分の新聞を1部ずつ配布したりして、新聞に毎日触れる機会を設けた。休み時間に読み、切り抜く姿も見られ、新聞に対する興味を引くことができた。記事の内容をつなげて考え、社会情勢の流れをつかむ生徒もいる。新聞社主催の切り抜き作品コンクールには2年生約230人が1人1作品を出品する。

 岐阜大付属中(岐阜市) 市橋聖也教諭
 新聞作りの伝統があり、生徒会活動として新聞部会がある。部員は各紙から記事の書き方や見出しの付け方などの工夫、取材の大切さを学び、学級新聞の制作に生かした。社会科の授業では、3年生が班ごとに各紙の1面を比較。掲載するニュースや伝え方の違いに気付くことで、情報をうのみにしないメディアリテラシーを育成した。新聞を設置したコーナーでは、生徒が紙面を広げて話す姿が見られ、NIEの活動が浸透している。
(実践担当者は前田佳洋教諭、野々村琢磨教諭)

 県岐阜商高(岐阜市) 丹羽沙也子教諭
 図書室の近くに新聞を閲覧、切り抜きできるスペースを設け、進路・図書・国語科の教員が中心となって3年生に新聞を読むことの大切さを伝えた。記事を要約し、感想を書く取り組みを続けることで語彙(ごい)が増え、書く力が身に付いた。進路に関する記事を集めて意見を交えた壁新聞を制作し、夢を発表した活動は、大学入試の面接で役立ったという生徒も。新聞を通して深めた考えを行動に移す生徒もおり、キャリア教育にもつながった。

 城南高(岐阜市) 小川直輝教諭
 調理科、製菓科の学校という特色を生かし、新聞を入り口にした楽しい授業に取り組んだ。紙面から料理のレシピを探し、班ごとにアレンジをして調理。生徒は「新聞にはアイデアが詰まっている」「思ったより、たくさんのレシピが載っていて参考になった」と話し、有益な情報が多いことを学んでいた。全職員が新聞を活用した授業を行い、新聞を閲覧できるNIEルームを充実させるなど、新聞を身近にする環境を整えた。
(実践担当者は他に中川陽介教諭、長谷部将也教諭)