NIE いま 学校で
オンライン有効活用「全校道徳」で第2波へ備え
新型コロナ禍そのとき学校は(中)

2020年07月06日 10:20

  • ビデオ会議アプリを用いた「全校道徳」の授業。異なる空間にいても生徒たちが同じ時間、情報を共有した
  • ICT研修会を重ね、今後の活用方法を模索する先生たち
  • 本紙紙面を活用し、友達とコロナ禍での社会的距離を確認する生徒たち=いずれも恵那市笠置町河合、恵那北中学校
  • 職員室のパソコンから全校生徒に語り掛ける鈴木勝久主幹教諭

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校が解かれ、県内の学校も6月1日の再開から1カ月余り。この間、手洗いやマスクの着用はもちろん、窓やドアの開放、人との距離確保など、感染リスクを避けるための新たな日常が当たり前になりつつある。学校でも求められるコロナ禍の新しい生活様式。コロナ禍ゆえ加速する取り組みもある。恵那市立恵那北中学校(篠原徹校長)では休校中に活用したICT(情報通信技術)を発展させ、今後の学校活動や感染拡大の第2波への備えを強化させている。

 猶予なき対応が求められた臨時休校は県内多くの学校で3月2日から年度をまたいで3カ月余りに及び、どの学校も子どもたちとつながる方法を模索していた。

 恵那北中では、オンライン(インターネットに接続している状態)で、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使った朝の会や動画授業を行い、生徒と関わる工夫を重ねた。情報担当の教諭が"先生"になり、ICT研修会も重ねた。ネットの活用には不慣れな教諭もいたが、「感染防止のため直接対面できない生徒たちと交流する手だてを確保し、学びの場を閉ざさない」という思いが取り組みを進めた。「コロナ禍でなければ実践を後回しにしていたかも」とある教諭。「何度も"先生"に尋ね、学ぶ側になることで、教える側の気持ちも新たにした」と言う。

 休校入りから1カ月もすると、ホームページ上で生徒にメッセージを送ることや動画の作成もできるようになった。教職員の異動時期とも重なったが、コロナ禍の対応でより団結力が強まった。

 学校が再開し先生たちの日常が戻ってきた。感染防止の対応も加わり、多忙な日々に向き合っている。生徒へのアンケートでは「動画授業などが役に立った」との回答が9割を超え、オンラインの利点も実感できた。「第2波に備えるためにもオンラインを活用していかなければ」との思いは深まった。

 学校再開3日目に開いた研修会では、休校中に先生たちが身に付けた知識や技を伝え合った。休校中に挑んだオンライン朝の会や動画授業の素材づくりも共有した。ICTの基本的な知識は休校中に学んでいたのでゼロからのスタートではない。「休校中の成果を生かし、さらにできることを増やしたい」。研修会では活発に意見が交わされた。

 そうした研修会から約1週間後にはICTを使った全生徒対象の授業「全校道徳」も行われた。授業は鈴木勝久主幹教諭が代表で行った。

 初めに各教室で学級担任が授業の狙いを説明し、「新型コロナウイルス感染症についての基本的な理解とこれまでを振り返り、今後、自分たちがこの感染症と共存していくために必要な力を身に付けよう」と呼び掛けた。

 職員室のパソコンから全校生徒に語り掛ける鈴木教諭の姿が、各クラスの大型モニターなどに映し出されて時間と情報を共有。藤田医科大感染症科作成の資料「コロナウイルスってなんだろう?」や内閣官房のホームページなどを見た後、▽新型コロナウイルスとは何か(知っていたこと、新しく知ったこと)▽自分が行っている感染症対策-を事前に配布されたプリントに個々で記入した。

 さらに、日本赤十字社制作の動画「ウイルスの次にやってくるもの」も視聴。ウイルスへの不安、恐怖が差別や偏見を生み出してしまう危険性とその対処法などを学んだ。

 プリントには「本当に戦わなくてはいけない相手は一人一人の心の中にある恐怖」「病気以外のコロナの怖さを知った」「感染予防策の徹底」「情報を正しく判断」「感染した人を差別しない」「正しく理解し、正しく恐れる」など生徒それぞれが思いを記した。

 恵那北中ではこれまで、新聞活用の一環として興味のある記事について仲間と意見交換するなど、社会への関心も深めてきた。休校中、各メディアの報道で感染症に関する偏見や嫌がらせが発生していたことに注目した生徒もいた。

 学校再開前の登校日(5月下旬)には、感染防止のための社会的距離を取ることで「離れていても心はひとつ」の文が読めるようになる本紙紙面を友達と確認し、心の中にある恐怖を安心や安全に置き換えようと考え合った。

 生徒会も動き始めた。文化委員会は活動の柱にしていた合唱を控えなければならない現状で、新たな活動を発案。「北中の良さや頑張りを校内新聞で発信したい」「地域にも自分たちの思い、声を伝えたい」という。先生たちは「幅広い情報を受け止め、深く考える生徒たちであってほしい」と願い、「タブレットも有効に活用したい」と次のステップを見据える。

 「自立して学ぶ力」と「共有する情報とそれを活用する力」-。コロナ禍にあって生徒、先生双方のスキルアップと学習環境の一層の整備が新たな課題になっている。