「笠松けいば」のマフラータオルを掲げ、特設ステージに登場したミルコ・デムーロ騎手

 猛暑の中で熱血トーク。 ミルコ・デムーロ騎手(JRA)のトークショーが、お盆開催の笠松競馬場で行われ、詰め掛けた大勢のファンを楽しませた。

 イタリア出身でJRA入りして4年目、39歳になったミルコ騎手。肩に掛けていたマフラータオルを高く掲げて、プロレスラーの入場シーンのように、特設ステージに登場。ファンの多さに「びっくりした」と、ますます上手になってきた日本語で第一声。デビュー2年目の20歳・川又賢治騎手が「僕はミルコさんのおまけで」と、トークに付き添った。

トークショーで笑顔のミルコ騎手(左)と川又賢治騎手

2人は、ともに栗東の森秀行調教師にお世話になった縁で、一緒に来場した。「パドック解説」でおなじみの長谷川満さんが進行役を務め、軽妙な突っ込みでJRA騎手の本音を引き出した。 

 ―ミルコさん、蒸し暑いですね。

 ミルコ騎手 中京競馬場も暑かったけど、寒いよりいい。暑さは大丈夫で、まだ夏の方がいいです。

昨年4月に笠松で騎乗し、ファンの声援に応えるミルコ騎手

 ―笠松のイメージは。

 ミルコ騎手 最高ですね。15年ほど前、森先生に笠松へ連れてきてもらったことがある。小回りで、アメリカの競馬場みたい。乗り方が違ってくるし、スピードが必要になるね。

 ―川又君は笠松が得意で、3連勝したこともあるね。

 ミルコ騎手 それはすごい。3連勝は難しいからね。(中央のレースでは)僕が乗る時は、川又君がいつもじゃましてくるけどね。

(同じ森厩舎育ちなのに、ミルコさんの川又君いじりが始まったようだ)

 川又騎手 ドバイで併せ馬をしたことがありますが、ミルコさんから教えてもらったことは、特にないです。同じレースでは、(僕が先行していても)ミルコさんがいつも割り込んでくる感じです。

 (川又君は、笠松で今年6勝と好相性。ヤングジョッキーズシリーズの笠松ラウンドにも参戦し2着、6着だった)

今年の笠松で6勝を挙げ、ヤングジョッキーズシリーズにも参戦した川又騎手。

 ―ミルコさんがジョッキーを目指すことになったのは。

 ミルコ騎手 父がジョッキーだったが、僕はなりたくなかった。でもサッカー選手になることも、勉強も駄目だったので、最後の選択としてジョッキーになった。父はあまりうまくなかったが、自分はうまくなりたかったです。

 ―日本で乗りたかったのか。

 ミルコ騎手 日本は最高です。最初は、ジャパンカップ(1998年)で武豊さんがスペシャルウィークで勝って感動した。アメリカやドバイでも乗ったが、どうしても日本で乗りたかった。イタリアで頑張っていたが、短期免許で毎年3カ月間、日本に来ていた。ずっと日本のジョッキーになりたかったが、最初の試験で落ちた。勉強が得意じゃないからね。日本語は遊びながら覚えた。

 川又騎手 ミルコさんは変な日本語も覚えている。関西弁で下ネタばっかり。

 ―日本と海外で乗る時の違いは。

 ミルコ騎手 海外では乗り方が変わる。日本では、ヨーロッパとアメリカの間ぐらいの乗り方になる。

 ―一番乗りやすい競馬場はどこですか。

 ミルコ騎手 岐阜です、笠松です。

 (おせじがうまい。岐阜を知っていたのは「GIFU 笠松けいば」のタオルで登場したからか)

進行役の長谷川満さん(左)と軽快なトークを繰り広げるミルコ騎手

 乗り方がアンカツさん(安藤勝己元騎手)に似ていると言われることがある。何回も一緒のレースで乗ったが、アンカツさんはすごく賢くて、素晴らしい騎手だった。

 ―騎乗では、いろんなパターンを考えながら乗りますか。

 ミルコ騎手 GⅠでも未勝利戦でも同じです。第1レースでは1番人気になることが多いが、負けると(ファンから)すごく文句(やじ)を言われる。

 ―きょうの笠松のレース、馬券の調子はどうですか。

 ミルコ騎手 馬券は全然当たらない。難しい。返し馬の動きでゴトゴトしていて、怖くて乗れないと思った馬が勝ったりして...。

 (ミルコさんの馬券を買うファンの気持ちが分かったようだ)

 ―川又騎手はきのう(小倉10R)落馬しちゃいましたね。

 川又騎手 去年も同じ日(8月12日)に落ちたんですよ。
 (最終レース、無事騎乗。トークショーにも参加できた。8月12日といえば、日航ジャンボ機墜落事故があった日。落馬事故にも気を付けたいが、来年は月曜日でJRAのレースはなくて良かった)

 会場の熱気と暑さで、2人は汗びっしょり。GⅠで25勝(JRA)も飾っているが、気さくで明るくファンを大切にするミルコさん。長谷川さんの鋭い突っ込みには、分からないふり?をしながら、軽快なしゃべりで会場を盛り上げていた。トークショーは、ハーフタイムを挟んで第2ステージへと続いた。