最後の直線で抜け出したラブミーボーイ

 母が活躍した笠松の大地は、やはり相性抜群。ラブミーチャンの長男で、JRAから笠松競馬に移籍したラブミーボーイ(牡3歳)が待望の初勝利を飾った。

 サマーカップシリーズが開催され、木曽川河畔の夏競馬は真っ盛り。3歳の1400メートル戦に登場したラブミーボーイには東川公則騎手が騎乗し、単勝1.1倍の圧倒的人気。2番手からダイヤモンドビームをぴったり追走。3~4コーナーであっさりかわすと、直線で突き抜けて6馬身差の圧勝。JRA時代からデビュー4戦目で、ファンの熱い期待に応えてくれた。東川騎手にとっては、地方競馬通算2700勝を達成するメモリアルレースにもなった。

母ラブミーチャンの背中を追って、笠松で初勝利を飾ったラブミーボーイ

 ラブミーボーイは3歳になってからJRA(村山明厩舎)でデビュー。追い込みの競馬で10着、16着と結果を残せず、笠松の後藤正義厩舎に移籍した。笠松初戦となった前走では、先行策で粘り込みを狙ったが、惜しくも2着だった。父はゴールドアリュール。誕生日はオグリキャップと同じ3月27日で、東海ダービー2着の名古屋・サムライドライブとは生年月日まで同じ。北海道所属の弟・ラブミージュニア(2歳)は、JRA認定レース2戦目で初勝利を挙げたが、前走・栄冠賞では、流れに乗れずに14着に敗れている。

 ラブミーボーイを勝利に導いた東川騎手。「母ほどスタートは良くないが、1回使ってキビキビしてきた。中央のレースでは、ゲートをうまく出てなかったが、きょうのスタートは1歩目から出てくれた。スピードもあり、2番手からの競馬で、どこから仕掛けようかとタイミングだけでした。前走は逃げたが、きょうは外枠からで、楽に行きました」と振り返った。

ラブミーボーイに騎乗した東川公則騎手

 ラブミーチャンには、デビュー前の調教で1回乗ったことがあり、「しなやかな動きだった」という東川騎手。母に似て骨太の長男について、「前走よりも乗った感じが良かった。母と比べたらかわいそうですが、今後は、もまれて強くなって、勝ち進んでいければいい」と、名門厩舎での成長に期待を込めていた。

 後藤正義調教師も「前走後の飼い葉の食いは良く、一度使って追い切りの動きも良かった」と、この日の勝利に満足そう。笠松での適性の高さを見せており、もっと上を目指せる馬。笠松所属で2勝を挙げて、JRAに戻るかもしれないが、母のように笠松所属のまま、走り続けてくれれば、地元ファンも盛り上がり、馬券販売にも貢献してくれそうだ。地方競馬のダートグレードなど、重賞路線で活躍できる道を切り開ければ最高だが...。

ラブミーボーイで地方競馬2700勝を達成。喜びの東川騎手と笠松デビューを目指す慎君(左)=笠松競馬提供

 ラブミーボーイで節目の地方競馬通算2700勝も達成した東川騎手。「そうだ、2700勝だったね。もっと勝たなきゃいけないが、年齢的にも、けがなく無事に乗っていけたらいいです。目標の3000勝を目指して頑張ります」と笑顔を見せた。息子である慎君は、父親の背中を追うジョッキー候補生。来春のデビューを目指して、笠松で競馬場実習に励んでおり、父親は目の前でいいところを見せられた。笠松の同じレースで、腕を競う東川親子の姿が見られる日もそう遠くはないだろう。

 笠松重賞のサマーカップ(3歳以上オープン、1400メートル)では、元JRAオープン馬の園田・エイシンバランサー(牡6歳)が、下原理騎手の騎乗で圧勝した。2着には笠松移籍後9連勝中だったストーミーワンダー(牡4歳、笹野博司厩舎)が追い込んだ。

エイシンバランサーでサマーカップを制し、喜びの下原理騎手(左)と新子雅司調教師

 6月のクイーンカップに続いて笠松重賞V2を飾った下原騎手は「強い勝ち方ができて、すごくうれしいです。ゲートでは、電車の音に反応してバックしてしまったが、どうにかスタートを決めてくれた。2番手からの競馬で、勝ちを意識した。一つでも多く勝っていきたい」と余裕のコメント。贈られた花束を手に「園田に比べて笠松は花が多いですねえ」と詰め掛けたファンを笑わせながら、うれしそうに手渡していた。エイシンバランサーの次走は8月の佐賀・サマーチャンピオン(GⅢ)が目標となる。

 金沢競馬では、スーパースプリントシリーズの「日本海スプリント」が行われた。昨年までの名古屋・でら馬スプリントが休止となり、金沢で新設された重賞。笠松勢が5頭も出走し、昨年のでら馬スプリント王者のハイジャが3着と復調をアピール。人気薄のハドウホウが2着に食い込み、笠松勢の存在感を示してくれた。

 7月16日に名古屋競馬で行われる重賞の名港盃(1900メートル)には、笠松から8年ぶりに東海ダービー馬に輝いた3歳馬ビップレイジングが、古馬勢に初挑戦。カツゲキキトキト(名古屋)、エイシンニシパ(園田)ら強豪相手に、4コーナーから持ち前の豪脚を発揮できるか、注目の一戦となる。(残念ながら、疾病のため出走取り消しとなった)

 蒸し暑い夏、笠松では場外発売などのナイター営業も楽しめる。ラブミーボーイが勝ったレースは、冠協賛「FC岐阜PVin笠松競馬」としても実施された。21日午後6時から、笠松・清流ビジョン前の中央スタンドで、J2「横浜FC―FC岐阜」戦のパブリックビューイング(入場無料)が実施される。キッチンカーが登場し、ハーフタイムには競馬グッズ争奪「じゃんけん大会」なども行われる。サッカーファンも笠松競馬場へどうぞ。