スプリンターズSに挑んだラインミーティアと西田雄一郎騎手
先頭から最後方まで16頭が一団となったゴール前。レッドファルクスが大外からレッツゴードンキを差し切って連覇
最後の直線で内側を疾走するラインミーティアと西田雄一郎騎手のコンビ(奥)
スプリンターズS連覇を飾ったレッドファルクスと、勝利を喜ぶミルコ・デムーロ騎手
9日の盛岡・マイルCS南部杯に挑むキングズガードと寺島良調教師(左)

 中山競馬場に響き渡った伝説のオグリコールから27年。同じ舞台でスプリンターズSに挑んだオグリキャップのひ孫ラインミーティア(牡7歳)が、ファンの夢を乗せて、力強く駆け抜けた。

 1995年、祖母アラマサキャップ(オグリキャップの子)がオークスで8着、オグリワンが日本ダービーで17着となったが、それ以来となるオグリ一族のGⅠ参戦。10番人気だったラインミーティアは、残念ながら13着に敗れ、やはりGⅠは甘くなかったが、精いっぱい頑張ってくれた。熱い血統ロマンをかき立ててくれた西田雄一郎騎手とのGⅠステージ挑戦をたたえたい。

 パドックでは、7歳馬らしく落ち着いた周回を見せ、馬体も好仕上がり。本馬場に向かうラインミーティアと西田騎手にファンから声援が飛んだ。息をのむ電撃戦。全馬そろったスタートだったが、ラインミーティアは直後につまずいて1馬身ほどのロスがあり、後方2番手から追走。最後の直線では内から伸びてはきたが、届かなかった。優勝馬とのタイム差は0.7秒差で、それほど負けてはいなかった。

 「スタート後、トモを滑らせてしまい、後方の位置取りになってしまった。もったいなかった。このポジションになっては、GⅠでは厳しかった」と西田騎手。上位に食い込めず、悔しかっただろうが、レース後はサバサバとした表情だった。

 芦毛馬が強かった。勝ったのは1番人気レッドファルクス(ミルコ・デムーロ騎手)。中団後方から、一昨年の桜花賞馬レッツゴードンキを豪快に差し切ってスプリンターズS連覇を飾った。ゴール前では、同じ芦毛馬のスノードラゴン(16番人気)とともに、白っぽい馬体の2頭の勢いが際立っていた。

 ラインミーティアも決め手なら引けを取らないが、展開に左右される脚質。GⅠ初挑戦の重圧もあったのだろう。過去10年、サマースプリント王者は既に完全燃焼し、秋のスプリンターズSを勝った馬はいなかった。ラインミーティアにも夏の疲れが残っていたようで、厳しいGⅠの流れに対応できなかった。

 「負けて残念だが、いい夢を見させてもらった」と、応援したファンたちの声は温かかった。9歳のスノードラゴンも4着だったし、7歳ならまだまだ頑張れるだろう。来夏の新潟・アイビスSDでは、西田騎手を乗せて連覇を飾りたい。中京の高松宮記念など、またスプリントのGⅠ舞台にも戻ってきて、オグリキャップの血を残せる活躍を見せてほしい。遅咲きのラインミーティアと苦労人・西田騎手の挑戦はこれからも続く。

 秋競馬は地方でも熱戦を展開。金沢・白山大賞典(JpnⅢ)ではカツゲキキトキト(大畑雅章騎手)が2着に食い込んだ。JRA勢5頭が参戦し、インカンテーション(岩田康誠騎手)が優勝。カツゲキキトキトは3番手追走から、クリノスターオーとの2着争いで先着し、存在感を示した。地方・中央交流重賞ではこれまで、名古屋グランプリ、名古屋大賞典の3着が最高だったが、悲願のダートグレード制覇へまた一歩近づいた。

 中央競馬開催日でもある9日(月)には、盛岡・マイルCS南部杯(JpnⅠ)に中央馬キングズガードが参戦。7月のプロキオンS(GⅢ)で、自身にとってもうれしい重賞初勝利を飾った寺島良調教師(岐阜県出身)は、「順調にきている。東京盃を目標にしていたが、忙しい1200メートル戦よりも、マイル戦の方が競馬がしやすい。うまくさばければ」と意欲。この馬場を得意にしているコパノリッキーとベストウォーリアの一騎打ちムードに割り込めるか。

 騎乗するのは中野省吾騎手(船橋)で、4年前に笠松で期間限定騎乗(4勝)したことがある。今年は8月のワールドオールスタージョッキーズに地方代表として出場するなど、最も勢いのある若手騎手。笠松からも昨夏のくろゆり賞覇者サルバドールハクイ(東川公則騎手)、トキノベラトリクス(森島貴之騎手)の2頭が参戦する。

 笠松競馬では、13日に3歳重賞「岐阜金賞」が行われる。東海地区クラシック3冠レースの最終戦であり、今年から新たに「3歳秋のチャンピオンシップ」シリーズの一戦にも指定された。駿蹄賞、東海ダービーを完勝したドリームズライン(名古屋)が3冠制覇を狙って参戦か。重賞ウイナーのアペリラルビーやグレイトデピュティ、JRA認定競走勝ちがあるマルヨアキトら地元・笠松勢が意地を見せたい。