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オグリの里

オグリの里2020十大ニュース(上)



 波乱続きとなった2020年の笠松競馬。コロナ禍による無観客レースに、調教師・騎手による不祥事の追い打ち。競馬の開催自体が危ぶまれ、ファンサービスは低下したが、馬場改修を経てレースは何とか続けられてきた。馬券売り上げはインターネット販売が威力を発揮し、8年連続の黒字へ右肩上がり。女性ジョッキーの20年ぶりデビューなど復興への明るい動きもあった。

 28日から大みそかまで4日間の年末特別シリーズの入場者は上限1000人。往復はがきで応募して「当選」したファンは、観戦できるだけでもラッキーだ。場内の愛馬会や名鉄笠松駅の売店では、蹄鉄しめ飾りや迎春升飾りを販売。レースでは筒井勇介騎手(125勝)、渡辺竜也騎手(114勝)のリーディング争いが大詰め。30日にはライデンリーダー記念、31日には東海ゴールドカップの熱戦が繰り広げられる。

 明と暗、いろいろあったこの1年。「オグリの里2020十大ニュース」として、2回に分けて振り返った。

 ⑥東川公則騎手が引退、調教師転身(3月19日)
 
 「涙を浮かべながらお別れ」 名手・東川公則騎手(後藤正義厩舎)が33年間のジョッキー人生のゴールを迎えた。廃止寸前だった笠松競馬存続のため、大黒柱となって支え続けた。明るくて飾らず「ブッシュ」の愛称で親しまれ、リーディングに輝くこと6回。ミツアキタービンと挑んだ中央GⅠ・フェブラリーSでの激走をファンは忘れない。「残り200メートルでは先頭に立ったね。レース前には『タービン、頑張れ』という声が聞こえ、『地方馬を応援してくれているんだ』と力になりました」。アドマイヤドン(安藤勝己騎手)には敗れたが、大健闘の4着。現役ラストデーは無観客だったが、第1、第6レースで勝利を飾って地方通算2786勝(中央で5勝)。

 引退式が行われ「堪能しました。騎手という仕事が大好きで、やり切った」とすがすがしい表情。息子の慎騎手から花束を贈られ、「調教師になったら、いっぱい乗せて」とせがまれると笑顔が戻った。騎手仲間に手厚く胴上げされて、最後はゴロリと着地。「ジョッキーを無事卒業」。調教師に転身し、ミツアキタービンのような強い馬づくりに励む毎日。6月5日に初勝利を挙げてからも好調。30勝を突破し勝率は笠松でトップだ。

 ⑦オグリキャップ記念と笠松グランプリ、兵庫勢V(4月30日、12月3日)

 「高額賞金も魅力」 オグリキャップ記念(1着賞金1200万円)は大山真吾騎手騎乗の兵庫・マイフォルテ(牡6歳、田中一巧厩舎)が、1番人気に応えて重賞初Vを飾った。さすがはディープインパクト産駒。残り100メートル、大外から末脚を爆発させ、前の2頭を一気に差し切った。笠松勢はアリオンダンスの4着が最高で、2番人気のニューホープは7着に終わった。「直線を向いたら、一伸びしてくれた。僕自身、笠松で初めて勝つことができ、とてもうれしいです」と大山騎手。1日の馬券売り上げは8億円を突破した。

 「ゴール前は大激戦」 1、2着と3、4着が写真判定になった笠松グランプリ(1着賞金1000万円)。勝ったのは、ゴール前で差し返した兵庫・エイシンエンジョイ(牡5歳、橋本忠明厩舎)で笠松重賞3勝目。「直線で挟まれて、併せ馬のようになって伸びてくれました」と下原騎手。笠松のニュータウンガールは4着で復調の兆し。

 かつてはダートグレード競走だった笠松の2大レースは、ともに兵庫勢に優勝をさらわれた。来年は地元勢が意地を見せたい。

 ⑧騎手、調教師の馬券購入問題で警察が捜査(6月20日~)

 「現場を激震、ファンにきちんと説明を」 笠松競馬の関係者が馬券を購入したとして、競馬法違反の疑いで県警が調教師1人と騎手3人を任意で事情聴取。調教師が管理する厩舎と4人の自宅などを家宅捜索した。地方競馬の調教師や騎手は、全ての地方競馬の馬券を買うことが禁止されている。岐阜県地方競馬組合は、ホームページ上で「警察の捜査に全面的に協力し、必要に応じて関係者に厳正な処分をする」。8月の馬場改修後には「競馬関係者の法令順守への意識改革、監視体制の強化を推し進めている。事件については、詳細が判明したら発表したい」。NAR広報課も「捜査が進んではっきりしたら、きちんとコメントしたい」としている。

 公正なレースに取り組む笠松競馬の姿勢が問われており、この機に「浄化」を押し進め、クリーンな競馬場に生まれ変わりたい。騎手、厩舎スタッフをはじめ全てのホースマンが一丸となって「フェアプレー」に徹して、笠松競馬を愛してくれてきたファンの信頼を取り戻していきたい。問題発覚から半年が経過したが、警察の捜査は続けられている。

 ⑨水野騎手が南関東で20勝、東京ダービー4着

 「疾風迅雷、南関突破の大暴れ」 水野翔騎手が4月から2カ月余り、南関東での期間限定騎乗にチャレンジし、20勝を挙げた。遠征競馬に強く、積極的なレース運びで「南関突破」の快進撃。ブリッグオドーンとのコンビで、東京ダービートライアルを豪快に突き抜けて勝利。本番の東京ダービー(大井)では6番人気で4着に突っ込んだ。後方2、3番手からの競馬で4コーナーを回ると、モンゲートラオ騎乗の的場文男騎手との激しいたたき合いで見せ場たっぷりだった。

 モットーである「疾風迅雷」の戦いで、ドバイにも遠征。昨夏のマカオ遠征で重賞Vをプレゼントしてくれたファスバに騎乗。最後の直線では力尽きたが5着に踏ん張った。笠松では、同じ厩舎の渡辺騎手に続いて地方通算300勝を達成。笹野博司厩舎のツートップは「笠松の顔」になりつつある。渡辺騎手は6月の3歳・クイーンカップをボルドープリュネで制覇。地元ジョッキー騎乗では今年初めての重賞Vを飾った。

 ⑩ゲート内に厩務員がいるのに発走、レース取りやめ(4月2日)

 「命が懸かっているんだ」 新年度2日目第5R(9頭立て、1600メートル)。発走委員が真正な発走と認めず、スタートをやり直す「カンパイ」となり、競走取りやめとなった。9番枠のゲート内には大原浩司騎手騎乗のエネルムサシ(牡7歳、笹野博司厩舎)を誘導する厩務員さんがいたが、発走委員がこれを見落としてゲートをオープンさせた。前方200メートル地点で「カンパイ」の白旗が振られたが、先陣争いでレースに集中していた騎手はほとんど気付かず。ゴールまで1周半を走ってしまった。騎手たちは装鞍所前で騎乗馬を止めて「走らせるのは、もう無理」と困惑の表情。

 ゲート内で馬に蹴られそうになった厩務員さんは尻もちをついて倒れ込んだ。打撲はあったが、大きなけがには至らず良かった。馬主さんや調教師らは、謝罪に訪れた発走委員らに「(厩務員の)命が懸かっているんだから、しっかりやってほしい」と猛抗議。無観客でのうっかりミスでは済まされない事態。安全管理の徹底、再発防止が求められている。

 ■次点 ダルマワンサ岐阜金賞V(8月27日)

 「シルバーコレクター返上」 岐阜金賞のゴールインでは、加藤聡一騎手がガッツポーズ。重賞2着5回のダルマワンサ(牡3歳、田口輝彦厩舎)がシルバーコレクター返上の勝利。東海ダービー馬・ニュータウンガールの3冠を阻止する金星を挙げた。4番人気だったが、4コーナーからの追い比べですごい瞬発力と馬力を発揮し、重賞初V。吉田勝利オーナーは、前年のニューホープ(当時は金沢所属)に続いて、相性の良い岐阜金賞で連覇を達成した。笠松勢の岐阜金賞Vは10年ぶり。ダルマワンサの主戦は筒井勇介騎手。盛岡・ダービーグランプリに挑戦したが10着。東海菊花賞4着の後、JRAのレース(阪神)にも参戦。15着だったが大きな経験を積んだ。笠松のスター候補として、古馬になってからの成長が期待されている。