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オグリの里

水野騎手、ノーブルサターンで東海菊花賞3着



東海菊花賞でエイシンニシパと競い、3着に食い込んだ水野翔騎手騎乗のノーブルサターン(1番)

 4コーナーを回って先頭に並びかけた。「ついに勝てるかも」と力が入ったが、笠松・水野翔騎手(23)の国内重賞初Vはまたも持ち越しとなった。

 名古屋競馬場で13日、東海菊花賞(1900メートル、SPⅠ)が行われ、水野騎手が3番人気で騎乗した大井・ノーブルサターン(牡6歳、佐野謙二厩舎)が3着に突っ込んだ。下原理騎手・タガノジーニアス(牡7歳、新子雅司厩舎)が差し切り勝ち。吉村智洋騎手・エイシンニシパが2着に入り、兵庫勢がワンツーを決めた。地方競馬では南関東に次いでレース賞金が高い兵庫競馬。実力上位馬が集まっており、笠松や名古屋に参戦しては、重賞Vをさらっていくケースも多い。筒井勇介騎手・ダルマワンサ(牡3歳、田口輝彦厩舎)は初めての古馬挑戦で4着に食い込んだ。

 今年4~6月、南関東での期間限定騎乗で20勝を挙げ、東京ダービーでは4着(ブリッグオドーン)と健闘した水野騎手には、大井などから騎乗依頼が増えている。初騎乗したノーブルサターンはJRAで4勝し、重賞経験もある実績馬。昨夏の地方交流重賞・盛岡「マーキュリーC」(GⅢ)で2着と好走。東海菊花賞が地方転入初戦となったが、5カ月ぶりの休み明けレースで馬体重はプラス20キロと太め残りだった。

 1周目は後方2番手から追走し、2周目の向正面でロングスパートを開始。大外からぐんぐんと押し上げ、3~4コーナーで一気に前との差を縮めた。4コーナーを回って、先頭のタイガーアチーヴをかわしたが、最後の直線で切れる脚は残っていなかった。外から突き抜けたタガノジーニアスに4馬身、内を突いたエイシンニシパにクビ差及ばなかった。最後は兵庫の2頭に屈したが、さすがはJRAオープンからの転入馬。見せ場たっぷりで次走につながるレース内容だった。

ノーブルサターンに騎乗してパドックを回る水野騎手。後方は勝ったタガノジーニアスに騎乗した下原理騎手

 水野騎手「本調子じゃなかったが、何とか走ってくれて良かったです。前が速い流れでなくてスローだったんで、向正面から、うまくはまってエンジンがかけられた。ピリッと切れる脚はないですが...。中央での初めの頃のように、できれば先行していけるといい。次はもっと走ると思います」

 昨夏、マカオに遠征した水野騎手は、海外重賞で初騎乗初Vの快挙を達成。現地の関係者や日本のファンを驚かせた。G2のサマートロフィー(ダート、1350メートル)で大逃げして無欲の勝利。「疾風迅雷」をモットーにしているこの男らしさが発揮された、素晴らしいレースだった。「まさか『G2』とは思っていなくて...。トレーナーから『行け』と言われて逃げる作戦で、マイペースで運んでマークされずに勝つことができた。馬の肩に掛けられたレイを見て、ようやく勝利を実感できた」と、笠松に戻ってきて振り返っていた。あれから1年半近く。今年の目標の一つに笠松などでの重賞制覇も挙げていたが、なぜか「近くて遠い重賞V」となっている。

 ■この1年、重賞2着5回の「シルバーコレクター」

 水野騎手の道営時代の重賞では、テイエムシャンパンでの道営スプリント3着(2017年)が最高だった。海外重賞V後のこの1年間、国内重賞レースでは2着、3着が多かった。
 
 【笠松】ライデンリーダー記念3着 ボルドープリュネ (笠松)9番人気
     くろゆり賞2着      ニホンピロヘンソン(笠松)4番人気 
     オータムカップ2着    シゲルグリンダイヤ(笠松)4番人気      
 
 【名古屋】中京ペガスターカップ2着 メタリフェル (名古屋)4番人気 
      湾岸スターカップ2着   メタリフェル (名古屋)4番人気
      東海菊花賞3着      ノーブルサターン(大井)3番人気 
 
 【金沢】読売レディス杯3着    エースウィズ(大井)5番人気   

 【大井】東京プリンセス賞2着   リヴェールブリス(船橋)12番人気

重賞Vゲットが期待されている水野騎手

 重賞で3着3回、2着は5回もあり、結果的に「シルバーコレクター」になっている水野騎手。ダルマワンサに騎乗し、重賞でやはり2着が多かったのは筒井勇介騎手。オーナーや調教師の先生に申し訳ない思いからか、丸刈りにして気合を注入。その後、秋風ジュニアをベニスビーチで、名古屋・ベイスプリントをウラガーノで勝つなど重賞戦線でも活躍が目立つようになった。笠松のおしゃれ番長として「派手髪」でも注目されている水野騎手。晩秋の笠松開催を前に、ヘアカラーをグレーから青紫にして初日から3勝、4勝と勝利を量産してくれた。目立ちたがり屋のようでもあり、思い切って「ゴールド(金髪)」にして重賞Vをゲットしてもらいたいが、どうだろう。

 同じ笹野博司厩舎の渡辺竜也騎手(20)は、重賞で既に4勝(ストーミーワンダー3勝、ボルドープリュネ)を挙げており、水野騎手もそろそろ勝ちたいだろう。地元からは重賞を勝てる馬はなかなか出現しないが、これも巡り合わせ。1、2番人気になるような有力馬に騎乗できればチャンスは広がる。

 ■水野騎手、地方通算300勝でセレモニー

 水野騎手は10月22日、マカレナダンス(伊藤強一厩舎)に騎乗して地方競馬通算300勝を達成。「今年は南関東での期間限定騎乗もあって、応援してくださるファンが増えた。昨年はマカオにも遠征しましたが、他の国の競馬場でも騎乗して世界で活躍したいです」と意欲。300勝達成セレモニーには、渡辺騎手、名古屋の村上弘樹騎手(25)、加藤聡一騎手(25)も水野騎手の勝負服を着て、ファンの前に登場。将来の夢はでっかく「3000勝?」のポーズもあったが、4人合わせてなら、数年後に達成可能な数字である。同期の村上騎手は460勝を超えているが、水野騎手ならいつか追い越せるかも...。

水野騎手の地方通算300勝達成セレモニー。渡辺竜也騎手、村上弘樹騎手、加藤聡一騎手も水野騎手の勝負服姿で登場した

 水野騎手「300勝を達成させていただき、関係者に感謝しています。結構早かったですが、もっと記録を伸ばしていきたい。来年は笠松リーディングを狙います。現在リーディングの勇介さん(筒井騎手)を引きずり下ろしたいです。いろいろと事件もありましたが、若手のジョッキーをはじめ、関係者と一緒に笠松競馬を盛り上げていきたいです」

 応援するファンたちに、水野騎手への思いを聞いた。

 「東海地区に若手ジョッキーが多くなって、仲良く頑張っていますね。水野騎手の同期は村上騎手だけになったが、(きょう登場した)4人で仲良く遊んだりしている。競馬になるとお互いバチバチして競い合い、見ていて楽しいです。彼らは『東海の未来』であり、笠松競馬場の色や雰囲気も変わった。おじさんたちも息子や孫のように思って応援している。水野騎手は今の笠松の希望でもある。地方競馬は『おじさん騎手』のイメージもあるが、若手の頑張る姿があるから、足を運んでいます」

 南関東での期間限定騎乗で20勝を挙げて認められた。

 「武者修行先だった南関東のファンも、笠松に目を向けてくれるようになった。『水野はやっぱり、うまいなあ』とね。笠松の名を広めてくれ、ファンとしてうれしい。『水野君を生で見たい』と、わざわざ笠松競馬場に来場してくれる人も多くいる。笠松競馬開催日なのに、門別に参戦し、道営記念に挑戦(バンカブルスターで11着)。笠松以外の競馬場の所属馬でも騎乗依頼があり、『うちの馬で』と腕を買ってもらえている」

 東京プリンセス賞(大井)では、12番人気のリヴェールブリスで2着に突っ込んだように、伏兵馬での活躍も目立つ。

 「穴馬党のファンにはたまらない存在。『水野で負けたら、しょうがない』と思えるジョッキーで、新しい風を笠松に入れてくれた。しっかりとレースに取り組んでいるし、これからもいっぱい応援していける」

 18日の笠松・第4Rではブレスドレイン(牝4歳)に騎乗した水野騎手。豪快な差し切り勝ちで、管理する加藤幸保調教師(57)に「地方競馬通算1000勝」となる記念の勝利をプレゼントできた。デビューして6年半。水野騎手の国内重賞初Vは、いつどこで達成されるのか。本人はそれほど意識していないようだが、ライブ観戦で応援するファンにとっては「外せない」一瞬でもある。ゴールインでのパフォーマンス、勝利インタビューが楽しみである。できれば、笹野厩舎の馬で笠松のビッグレースを勝って、表彰式のお立ち台で、ファンと一緒に盛り上がりたい。



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ハヤヒデ

 80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。