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オグリの里

水野翔騎手「来た来た」、白銀争覇で国内重賞初V



タイセイプレシャスで白銀争覇を制覇。水野翔騎手(右)は国内重賞初V、後藤佑耶調教師(左)にとってもうれしい重賞初Vとなった

 「お待たせしました」。水野翔騎手(23)が7日の笠松「第26回白銀争覇」(1400㍍、SPⅢ)で、4番人気・タイセイプレシャス(セン馬9歳、後藤佑耶厩舎)に騎乗し、鮮やかな差し切り勝ち。うれしい国内重賞初Vを飾った。翌日には「結婚発表」もあり、新年早々おめでたいことが重なった。

 デビューから7年。マカオで海外重賞初V(19年・サマートロフィー)の快挙を達成していたが、国内では意外にも重賞未勝利だった。マカオ遠征後、重賞では2着が5回もあり、「シルバーコレクター」となっていたが、これを返上することができた。

 年明け4日の名古屋記念では、東海ダービー馬のニュータウンガールに騎乗。1番人気になり「前走あの走りだったんで(笠松グランプリ4着)、きょうは、まじで勝つと思っていた」そうだが、末脚不発で4着。またもVお預けとなって、「頑張りまーす」の一言を残して笠松に戻ったが、3日後の白銀争覇で「近くて遠かった重賞V」に手が届いた。

 年末にも同じ後藤佑耶厩舎のキングリーフィストで岐阜新聞・岐阜放送杯(A3特別)を制しており、陣営にもいい流れが来ていた。笠松グランプリ覇者で白銀争覇V2を狙った快速馬・エイシンエンジョイが兵庫から参戦。水野騎手のタイセイプレシャスは中央3勝クラスから笠松転入初戦を迎えた。レース前のパドックでは、金沢・ファストフラッシュが返し馬に向かおうとして、ぶつかったラチを破損させ、波乱含みのムード。水野騎手が一発やってくれそうな空気が漂った。

白銀争覇でタイセイプレシャスに騎乗し、豪快な差し切り勝ちを決めた水野騎手

■「ブーン」とエンジン全開、最後方から大まくり

 タイセイプレシャスは最後方を進み、3コーナー手前の坂から追い上げを開始。4コーナーでも後方2番手だったが、他馬が外を回るなか、インからロスのないコース取りで強襲。ラスト100では数頭が横一戦になったが、前の7頭を一気にごぼう抜きしゴールイン。2着のファストフラッシュにクビ差、3着のドライヴナイト(兵庫)にはさらにクビ差でねじ伏せた。ハイペースで逃げた1番人気エイシンエンジョイは失速し、6着に終わった。タイセイプレシャスは上がり37秒8、他馬より1秒以上速いタイムで末脚を爆発させた。管理する後藤佑耶調教師にとっても、うれしい重賞初勝利となった。

 厳しいレース展開を最高の形で制した水野騎手。ゴールでガッツポーズする余裕はなかったが、晴れの表彰式で歓喜に浸った。

 水野騎手 「うれしいです。この馬のリズムで、道中はだんだんギアもスピードも上がって、(4コーナーでは)内が開いたんで良かった。(最後の直線も)馬が頑張ってくれた。体調がもっと良くなれば、たくさん勝てると思う。(自分も)もっと多く重賞を勝って、今年は笠松リーディングを取りたいです」

 ウイナーズサークル前には、水野ファンが詰め掛けた。勝利騎手インタビュー後にさらに詳しく聞いてみると。

 水野騎手 「追い切りでめちゃ動いていた。スタート後の手応えは良くなかったが、1~2コーナーから向正面でフワーっとなって、そこから追い始めたらエンジンが掛かって『ブーン』となった。砂と西日で前がよく見えなかったが、『やばい、来た来た』という感じ。基本的にコーナーで外を回すのが嫌いなんで。(マカオ仕込みでもある)インサイドがベター。最内から1頭分、外に出して残り100メートルぐらいでは『差せる』、ゴールでは『多分勝ったなあ』と。(レース前は)勝てるとは思っていなかったが、ワンチャンスあるかなあと。JRA(東京コース)のダートでも3、4馬身差で、勝ち馬と差のない競馬をしていたからね」

 派手髪でいつもファンを楽しませてくれる「笠松のおしゃれ番長」。マスクを外すと「今年も『ラブ&ピース』でいきます。コロナ禍なんで余計にね」と笑顔でポーズを決めてくれた。後藤佑耶調教師も「厩舎開設以来の重賞Vで本当にうれしいです。水野騎手がうまく乗ってくれた」と勝負どころでのコース取りをたたえた。

国内初重賞Vで喜びに浸る水野騎手

■最高のパートナー迎え、目標は笠松リーディング
 
 国内重賞初Vの喜びに包まれた中、翌日には「笠松競馬のホープ・水野翔騎手とミス東スポ2020・空条のんさん(30)の結婚」が発表された(東スポWebや中京スポーツなど)。「美女馬券師」でもある空条さんが水野騎手と出会ったきっかけは、馬好きである共通の友人の紹介だったという。

 白銀争覇は中京スポーツ杯でもあり、水野騎手が自ら「結婚」を祝う勝利になった。「持ってる男」は演出も派手なのかと思わせたが、この日の発表は「元々決まっていましたが、タイミングが良かった」とのこと。関東地区で出会い、「一緒に居たいなあ」との思いを伝え、プロポーズした水野騎手。既に岐阜で新婚生活をスタートさせており、幸せいっぱいだ。

 「かける君」&「のんちゃん」、最高のパートナーとして末永くお幸せに―。笠松競馬や自らのツイッターでも「夫婦ともども健康に気を付け、仲良く過ごしていきたいです。いままで以上に責任感を持ち、より一層努力してまいりますので、引き続き応援していただけたらうれしいです」とコメント。大勢のファンやホースマンたちに温かく見守られて、笠松競馬も明るく盛り上げてくれそうだ。

 レースでは、笠松リーディングが今年の大きな目標。昨年は88勝で4位だったが、このほか南関東で20勝、名古屋で34勝、金沢で1勝を挙げており、計143勝で全国リーディング16位。筒井勇介騎手の139勝(17位)、渡辺竜也騎手の132勝(23位)を上回った。
 
 名古屋での騎乗依頼は多いし、笠松では開催リーディングも増えている。「南関東では十分吸収することができた。新年は笠松、名古屋で通年騎乗し、笹野博司先生に恩返しをしたい。コロナ禍で海外遠征はできないし、スポット参戦以外は南関東にも行かないつもり」と地元でどっしりと腰を据えて戦う構え。各地の重賞戦線でも騎乗が増えそうで、飛躍の年になりそうだ。

 「疾風迅雷」がモットーで、逃げて良し、追って良しの実力派。一昨年のマカオ遠征に続いて、昨年は武豊騎手と共にドバイにも参戦。「将来的には、世界から騎乗依頼をもらえるような騎手になります」と香港や欧州でのワールドワイドな挑戦にも意欲を示している。

兵庫クイーンセレクションをニジイロ(名古屋)で制覇。姫路初騎乗で重賞Vを飾った渡辺竜也騎手(NAR提供)

■渡辺竜也騎手は姫路初騎乗、ニジイロで重賞V
 
 同じ笹野厩舎の渡辺竜也騎手(20)も負けていない。14日に姫路で行われた3歳牝馬重賞「兵庫クイーンセレクション」を、名古屋のニジイロ(川西毅厩舎)で圧勝。姫路初騎乗で重賞Vを果たした。

 3コーナーで2番手に上がり、直線の追い比べで抜け出すと、最後は持ったままのゴール。重賞は5勝目で、そのうち兵庫ではストーミーワンダー(19年・姫山菊花賞)に続いて2勝目。

 1年前に再開された姫路競馬場は、渡辺騎手所属の笹野博司厩舎が、開業2カ月で重賞初Vを飾った相性の良いコース。姫路チャレンジカップ(2012年)で、通算100戦目のトウホクビジン(川原正一騎手)が後方から突き抜けて勝利。ニジイロも同じ4番人気で勝ちっぷりも似ていて、渡辺騎手は「先生の姫路初挑戦Vに続けて良かったです」と喜んだ。

 渡辺騎手は千葉県船橋市出身で、今年は南関東での期間限定騎乗にも意欲。各地のリーディング5位以内の若手騎手を対象とした枠(各競馬場で1人)で申請を出し、浦和所属で5~6月の2カ月間を予定。昨年の水野騎手のように大暴れして、「笠松の渡辺」の名を南関東のファンにもアピールしたい。

■再び無観客レース、関本玲花騎手ら期間限定騎乗
 
 コロナ禍による緊急事態宣言の対象地域に岐阜県、愛知県が追加された(期間は2月7日まで)。これを受けて、笠松競馬は19日から無観客レースとなる。

 19日からの笠松開催では、期間限定騎乗で岩手・関本玲花騎手(20)=湯前良人厩舎=が3月5日まで、金沢・池田敦騎手(43)=花本正三厩舎=は2月19日まで参戦。笠松所属の女性ジョッキーが2人になって注目されるが、ライブ観戦は当面お預け。テレビ、インターネットの画面越しからの応援となる。昨春、笠松でデビューした深沢杏花騎手(19)=湯前厩舎=は今年既に2勝目を挙げており好発進。「成長した姿を見せたい」という関本騎手との「花・花コンビ」対決では、お互いナイスファイトを見せてほしい。



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ハヤヒデ

 80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。