岐阜新聞・岐阜放送懇談会
新たな価値創出に挑む 《東濃9月例会》
慶応義塾大大学院・経営管理研究科教授 井上哲浩氏

2017年09月30日 14:26

「これからは価値創造のマーケティングが重要になる」と語る井上哲浩氏=多治見市白山町、オースタット国際ホテル多治見

「これからは価値創造のマーケティングが重要になる」と語る井上哲浩氏=多治見市白山町、オースタット国際ホテル多治見

◆テーマ「新しい時代のマーケティング戦略」

 岐阜新聞・岐阜放送東濃懇談会9月例会は29日、多治見市白山町のオースタット国際ホテル多治見で開かれ、慶応義塾大大学院・経営管理研究科教授の井上哲浩氏が「新しい時代のマーケティング戦略」と題して講演。飲料や乗用車など具体例を挙げながら、企業戦略のヒントについて「市場を拡大する補完品やビジネスの本質を見極めることが大切」と語った。

 井上氏は「ニーズを充足する過程がマーケティングだが、今は明確なニーズが存在しない時代」とし、新しい価値を顧客に提供し、伝達や関係性の大切さを強調した新たなマーケティングについて語った。

 その上で、京都の老舗茶舗と組むことで茶葉調達や生産、営業の担当者との調整など内部に対するマーケティングを行ったサントリーの緑茶「伊右衛門」や、製品から生産、販売チャネル、広告に至るまで高級の本質を追求したトヨタ自動車の「レクサス」などの成功例を挙げた。

 井上氏は成長戦略にも触れ、市場を補完する要素に着目したプロ野球広島の「カープ女子」の例を紹介。「女性客は男性客よりはるかに客単価が高く、カープ女子は何度も球場に来てくれる。男性客も連れてくる波及効果なども含めると60倍の価値があり、倍々成長を遂げてきた」とした。

 また、米国の鉄道事業の衰退についても「競争ドメインを線路を走るものと小さく定義してしまったため自動車や航空機に敗れた。本質である移動手段と定義してパートナーとうまく提携すべきだった」と語った。