岐阜新聞・岐阜放送懇談会
リーダー不在、今と共通<西濃10月例会>
国際日本文化センター助教 呉座勇一氏

2018年10月31日 10:02

「応仁の乱が起きた一番大きな要因は将軍家のお家騒動だと考えられていたが、そうではなかった」と語る呉座勇一氏=大垣市万石、大垣フォーラムホテル

「応仁の乱が起きた一番大きな要因は将軍家のお家騒動だと考えられていたが、そうではなかった」と語る呉座勇一氏=大垣市万石、大垣フォーラムホテル

◆テーマ「応仁の乱から何を学ぶか -陰謀論に騙されないために-」

 自著「応仁の乱」が歴史をテーマにした新書としては異例のヒットとなったことに、「先行きの読めない混沌(こんとん)とした現代は、応仁の乱が起きた時代と世相が似ている。知らず知らずに時代を重ね合わせている人が多いのではないか」と指摘した。11年にわたって続いた応仁の乱を「勝者も疲弊し損をした勝者なき戦争。誰も混乱を収拾できる人がいなかった。リーダー不在の時代という意味でも現代と似ているのではないか」と述べた。

 室町幕府8代将軍足利義政の正室・日野富子がわが子を将軍にしようと画策したことが応仁の乱を引き起こした、という従来の定説を否定。裏付けとなった軍記物「応仁記」について、細川家が将軍家との固い絆を示すために「意図的に事実をねじ曲げて書かれたと考える方が自然だ」とし、「一種の陰謀論」と主張した。

 「陰謀論では、因果関係を単純化する傾向がある。すべて日野富子が悪いと単純化することで、原因と結果が直線的につながって分かりやすくなる。だから大多数の支持を得やすくなる」と分析した。

 歴史上の人物を誇張・脚色する英雄史観も「陰謀論と不可分の関係にある」と持論を展開し、「英雄でもミスを犯す、を前提に考えるべき」と陰謀論に騙されないためのアドバイスをした。