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ふるさとへの便り

「乗り合い」小さな温かさ

南アフリカ



乗り合いタクシーの助手席で運賃を計算する乗客=南アフリカ共和国
乗り合いタクシーの助手席で運賃を計算する乗客=南アフリカ共和国

 南アフリカ共和国(以下南ア)から帰国して、あと数か月で1年になります。さまざまなことを経験させてもらいました。今、心に浮かぶのは温かい思い出ばかりです。
 南アでは15人ほど乗れるバンが乗り合いタクシーとして使われ、人々の足になっています。私も職場まで毎日使って通勤していました。実は、歩いて通勤もできるのですが、これが非常にローカルな乗り物で、地元の人と話す良い機会でもあったため、あえて利用していました。
 ドライバーは1人、残りは乗り合わせた客です。ドライバーは運転しながら、運賃回収や計算、乗客の行き先管理を1人で行っています。多くの人が乗っているので、運賃を集めるだけでも一苦労です。しかし、見ず知らずの乗客同士が、運賃の回収、お釣りの計算を手伝います。なるべくお釣りが出ないように、近くの人と一緒に払ったり、お金をくずし合ったりします。もし間違って多くお釣りが渡されても、「間違っていたよ」と言ってドライバーの元へ返ってきます。
 多くの荷物を持った人も頻繁に乗車します。狭い車内です。そんな人には周りの乗客が自然と手を差し延べ、荷物を持ってあげたり、運んであげたりします。満員になればぎゅうぎゅう詰めです。しかし、不満を言う人は一人もいません。
 最近は暗いニュースが目に留まりがちです。暗いイメージで世界の様子を認識しがちになってしまいます。トップニュースにはなかなか出てこない、任地の小さな温かさを知っていただけたら幸いです。南アからの帰国直前、私がコロナ差別のような発言を受けた際、現地の同僚が「日本人であるあなたに誇りを持って! 明るい日は必ず来るよ」と力強く励ましてくれたことが、忘れられません。

 赤塩健太さん 教員を経て2019年7月から青年海外協力隊で南アへ派遣。教員の指導力向上を目指し活動。不破郡垂井町出身。28歳。




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