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ふるさとへの便り

才能生かす場をつくる

インド



筆者の作った時計の教材を使って現地の教師が学習している様子=インド
筆者の作った時計の教材を使って現地の教師が学習している様子=インド

 私はJICA協力隊として、南インド・チェンナイの国立機関で特別支援教育の質の向上を目指して活動していました。現在は休職していた岐阜県の特別支援学校教員に復帰しています。インドへの思いや葛藤は今もありますが、そんな時、脳裏に浮かぶのはインドでのある人の言葉です。

 赴任して2カ月ほどたった頃、現地の教育現場の弱みや改善すべき点が見えてきたものの、それをどう伝えたらよいか悩んでいました。支援が行き詰まっている、もっと効果的にできる方法がありそうだ―と感じても、「そんなやり方では駄目だ」などと投げ掛けることが果たして良いのか。先進国から来た私の知識や手法が合っているはずだ、というおごりでものを言っても聞いてくれる人はいない。そう感じた私は教材・教具を作って提案を始めました。それがうまくいき、多くの先生が興味を示し、実際に使ってくれました。

 そんな中、私の作った教材を絶賛し家庭でも同じものを作ってくれた、ある知的障害の子どもを持つお母さんが、こんなことを言ってくれました。「人は誰でも能力を持っている。問題はその生かし方や生かす場が必ずしも整わないこと。私の子どももそう。でもあなたの教材で一つ力を伸ばすことができた。あなたの才能は素晴らしいからもっと教えて」と。私の仕事は子どもとその周りの人の未来を明るくする手助けをすることだと思い出し、もっとこの場所で受け入れてもらえるアイデアを提案しようと思った瞬間でした。

 日本での復職直後は全く違う場で全く違うことをしているような気がしていましたが、インドでの切磋琢磨(せっさたくま)も、日本での経験も全てこれから私が関わる子どもたちにつながっていく―。そう思って今できることを精いっぱいやろうと思います。

 西澤ひかりさん 県特別支援学校教員。現職教員特別参加制度で一昨年7月にインド派遣。重複障害児・者支援機関で活動。郡上市出身。




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