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ふるさとへの便り

バヤニハン助け合う心

フィリピン



支援物資を受け取る住民=フィリピン・マニラ首都圏
支援物資を受け取る住民=フィリピン・マニラ首都圏

 タガログ語で「バヤニハン」という言葉があります。互いに助け支え合う「相互扶助」を意味しており、フィリピン国民が古くから大切にしている概念の一つです。

 この1年、フィリピンでは首都マニラの南方に位置するタール火山の噴火や地震、台風などの自然災害に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、国内経済が大幅なマイナス成長に陥るなど、大きな打撃を受けています。2020年の失業率が35%を超えるとの調査結果もあり、多くの国民が安定した収入源を失い困窮しています。こうした厳しい環境下でも、親族間に限らず知人、友人などの小さなコミュニティー間で住居や食べ物などを融通し、助け合いながら生活する姿が各所で見られたのは、フィリピンならではだと思います。

 「バヤニハン」は、過度に他者へ依存することで個人の経済的自立を阻害し、ひいては国家の経済発展の妨げになっていると指摘されることがあります。確かに当地で生活していると、そう感じる場面に幾度となく遭遇します。しかし、政府は新型コロナウイルス対策法の名称を「バヤニハン法」とすることで、国民に一致団結を訴え掛けるなど、この助け合いの精神が多くの国民の生活を守り、未曽有の危機を乗り越える上でのキーワードになっているような印象を受けます。

 世界に目を移せば、ワクチン供与や医療提供などの国家レベルから、生活に関わる草の根レベルまで国際的な協力・支援が見られる一方で、各国の内向き志向の拡大が指摘されています。さまざまな要因で大きな打撃を受けている、そんなフィリピンの危機的な状況下だからこそ、「バヤニハン」の重要性と国民性の魅力を、コロナ禍での生活を通して感じています。

 石田修平さん OKB大垣共立銀行マニラ駐在員事務所長。1999年入社。海外事業推進部などを経て2017年より現職。45歳。




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