放射線治療医 田中修氏

 黄金色の街路樹が、美しく彩る季節となりました。今回は子宮頸(けい)がんについてのお話をしようと思います。まずは話題となっている、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて触れたいと思います。

 子宮頸がんの原因であるHPVの予防接種と副作用の関係は、いろいろな考え方があります。しかし世界保健機構(WHO)も、日本産科婦人科学会からも、接種推奨の意見が出されていますので、現時点ではワクチン接種を勧めるのが世界的な流れになっている感じがします。こちらにおいても、患者さん個々の判断で接種するかどうかを決めなくてはならず、産婦人科の医師としっかり話し合う必要があるかと思います。

 子宮頸がんは、ステージが0~ⅣB期に分かれており、進行度が高いほど数字が大きくなります。全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)ガイドラインによると、治療方法に関しては手術と放射線(化学)療法があり、ステージによって治療方法が変わります。ステージが0~ⅠA期に関しては、手術(円錐(えんすい)切除)が選ばれることが多いです。ⅠB期・ⅡA期に関しては、手術と放射線治療の治療成果は同等とされ、患者さんの好みによって治療方法が選べることになります。ⅡB期以上のステージに対しては、手術という選択肢は示されておりません(NCCNガイドラインによる)。

 発見される時期によって、治療方法が大きく異なります。また治療方法は手術と放射線治療では大きく異なり、子宮温存や排尿障害といった選択や後遺症についても加味し、治療方法を選ぶ必要があります。

 私は放射線治療医ですので、患者さんには産婦人科の医師の意見も聞くようにしてもらっています。選択肢が多岐にわたる場合、納得するまでいろいろな専門家の意見を聞き、治療を選択すると、後悔のない治療につながると思います。

(朝日大学病院放射線治療科准教授)