美濃加茂市中央図書館で展示した新聞切り抜き作品の数々=美濃加茂市太田町
かべ新聞作りに熱中する生徒=美濃加茂市西町、同市立西中学校

県NIEアドバイザー・細江隆一美濃加茂市立西中教諭

 NIEは「慣れる」「親しむ」「活用する」の段階を経る、と言われる。まずは新聞に「慣れる」ところから始め、十分慣れたところで自分から新聞を開いたり、記事を読んだりする「親しむ」段階に入る。そこから、「かべ新聞」や「新聞の切り抜き作品」を作ったり、新聞社に投稿したりする「活用する」段階に入るにはさほど時間は要らない。いったん興味を持った子どもたちは、自ら「主体的で、対話的で、深い学び」をしようとするからである。

 本年度は授業でかべ新聞作りに取り組んだほか、夏の一課題として切り抜き作品を選択して取り組んだ生徒が19人いた。切り抜き作品は、夏休み後に体育館に展示し、保護者に見ていただく機会も経たが、時間をかけて作り上げた力作が多数あったこともあり、本年度は美濃加茂市民にも見ていただこうと考えた。幸いその旨を校区にある美濃加茂市中央図書館にお願いすると、館長さんが快く引き受けてくださった。生徒たちにも展示する了解を得て、切り抜き作品19点全てを図書館に展示することを決めた。

 目的は二つあった。一つは、市民の皆さんにも西中学校の活動の良さを見てもらいたいこと、もう一つは生徒たちに自信をもってもらうことだった。特に、後者は「自分の作品が図書館に展示された」という思いが自信につながり、それが今後の活躍にも生かされれば、という思いがあった。

 期間は12月の2週間。作品を10点と9点に分け、1週間ずつ展示作品を交換した。国語科の先生方にも手伝っていただき、作品の展示から回収までを行った。私も時折図書館に足を運び、参観者がどれぐらいみえるかを確認したが、立ち止まって見てくださる方も何人かみえた。図書館の職員にも「すごい作品ばかりですね」と褒められ、うれしくなったのも確かだった。

 この取り組みのアイデアは、原田結花NIEアドバイザー(山県市立高富中教諭)からいただいた。数年前に聞いてから、いつ実行しようかと温めていて、ようやく昨年実行できた形である。原田アドバイザーは市役所に展示をお願いしたらしいが、市民が集う点では図書館も同じ、と考え、私は今回のような形にした。きっと他の場所でも同じ取り組みは可能だろうと思う。

 NIEの「発信する」方法は、新聞への投書、各種コンクールへの応募などたくさんあるが、作品を展示することで市民に「発信する」のも一つである。今回「新聞の切り抜き作品」が校内だけの展示で終わらず、広く美濃加茂市民へも発信できたこと、生徒の自信の高揚につながったことは、大きな成果だと思う。来年度も、できれば同じ方法で生徒たちのがんばりを発信したいと考えている。