思い思いのテーマでかべ新聞作りに挑戦する生徒たち=美濃加茂市西町、西中学校
完成したさまざまなテーマの新聞

主体的な学びを実感

県NIEアドバイザー・細江隆一美濃加茂市立西中教諭

 生徒らを「かべ新聞」作りに挑戦させてみた。岐阜新聞主催の「かべ新聞コンクール」に応募する前提である。計画を立ててみたが、授業で確保できるのは3時間。後は自宅で完成まで持っていかせることにした。

 生徒は昨年も社会科の時間で「かべ新聞」に挑戦している。おかげでイメージが持ちやすいのは利点だった。昨年と違うのはテーマも各自で決める点。そのため、テーマ設定と資料収集に時間がかかった様子だった。

 もっとも、生徒にとっては「テーマ設定も各自」の方が自由度もあり、やってみて楽しかったらしい。できた新聞を並べてみると、さまざまなテーマで取り組んでいるのがわかった。

 例えば、「乃木坂・欅(けやき)坂新聞」「あらし新聞」など芸能関係がテーマのもの。「プライバシー新聞」「ネット新聞」など最近の時事問題をテーマにしたもの。「西中新聞」「クラス新聞」など学校をテーマにしたもの。あるいは、「家族新聞」「我が家の旅行新聞」など家族をテーマにしたもの。写真を貼ったり、グラフを作成したり、アンケートをとったりしながら、楽しんで「かべ新聞」作りに取り組んでいた。

 毎回自己評価を記入させるとともに、最後は「かべ新聞」に取り組んだ感想まで記入させたが、その中の大半は「最初はできるかな、と思ったけれど、やってみると予想以上に進めることができた」「仲間と教え合ったりしながら、楽しんで取り組めた」というものばかりだった。中には「自分の好きなテーマを掘り下げて調べられたし、それを新聞に仕上げることができてうれしかった」という感想もあった。

 たしかに生徒はネットや雑誌、新聞などさまざまなメディアを利用して資料を集め、それをもとに文章を作成したから、相当な知識を得ただろうし、文章力もかなり身に付いたはずである。また、「情報収集能力」「情報処理能力」「情報活用能力」も定着したに違いない。さまざまな力が身に付いたと実感したことが、生徒の感想から伺えた。

 「かべ新聞」作りを行うには時間の確保が肝心である。今回は授業の一環として3時間を確保したが、それでも完成させるためには「時間が足りなかった、先生」と生徒に嘆かれた。「かべ新聞」作りの成果や効果が新しい学習指導要領のキーワードである「主体的、対話的で、深い学び」につながっている点を実感しつつも、それをどの時間で取り組むのか、どれだけ時間を確保できるのかという課題が残った。来年取り組む場合は、計画的に見通しを持ち、余裕のある「かべ新聞」作りを目指したいと思っている。