注目した新聞の切り抜き作品「輝く女性が日本を変える!」
さまざまな観点から働き方を考えた新聞の切り抜き作品「働き方改革」

働き方改革 身近な問題と合わせ考察

県NIEアドバイザー・細江隆一美濃加茂市立西中教諭

 夏休みが明け、生徒の宿題が集まった。新聞の切り抜き作品に挑戦したのは、20人。さまざまなテーマに取り組んだ作品がある。テーマごとに、主な見出しだけをピックアップしてみる。

 ▽岐阜県や美濃加茂市について 「I LOVE 美濃加茂」「私たちのまち岐阜」▽スポーツ 「第99回甲子園の軌跡」「2020東京五輪」▽社会問題 「働き方改革」「輝く女性が日本を変える」▽災害 「迫る危機 守れ命」「危険生物日本上陸」「自然の猛威」▽戦争 「北朝鮮問題」「どうなる?ミサイル問題」「平和を祈って...戦争経験者の話」「忘れない原爆への怒り」▽未来 「未来へきらめけ 輝くヤングマン」「ロボットと私たちの未来」「進化は続く自動車の未来」-。

 こうして見ると、生徒の視点は多岐にわたっていることが分かる。私は社会問題が多いのではないかと予想していたが、それ以外のテーマの作品も数多く出てきた。

 特に感心したのは、戦争をテーマとした切り抜き作品。北朝鮮のミサイル発射問題の記事から、この問題を真剣に受け止め、日本が巻き込まれないかを心配する生徒。戦争経験者の記事を集め、改めて平和の尊さを考えた生徒。あるいは、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下や終戦記念日の記事から戦争の悲惨さを再認識した生徒。戦争経験を語れる人が少なくなりつつある中で、戦争の悲惨さを改めて学習しようとする生徒に感心した。これは国語や社会など教科の学習がきっかけになったとも考えられる。

 数ある作品の中で私が注目したのは「働き方改革」と「輝く女性が日本を変える」を見出しに据えた作品である。前者の取り組んだきっかけにはこうある。「入院しているときに議員のパワハラの録音や過労死が報道されていました。身近なところでは、部活の練習日数が見直されるようになり、先生たちの働き方も注目されるようになってきたので、『働き方』に関連した記事に注目することにしました」

 作品内では、自ら命を絶った広告大手電通の女性社員、暴言で話題になった女性議員、産科医の過労死、「ブラック部活」で話題の教員の働き方などを取り上げている。そして、まとめでは「『働き方なんて変わらないよ』という意見もありますが、意識を少し変えて、やれることからやっていくことが大切だと思います」と書いている。さまざまな観点から働き方について考え、自分なりの結論に彼女はきちんとたどり着いていることが分かる。

 8月、名古屋市で開催された第22回NIE全国大会は「新聞を開く 世界をひらく」をスローガンに掲げた。新聞の切り抜き作品に取り組んだ生徒は今後間違いなく「世界をひらく」逸材に育つに違いないと信じている。