グループごとに1点に絞ったアレンジレシピを協力して調理する生徒ら=岐阜市細畑、城南高校
新聞から好きなレシピを探す生徒ら=同

「あげずし」の具華やか/特産エダマメ生かして

 新聞記事のレシピを基に、生徒らがアレンジ料理を工夫して、プロの一品に仕上げる-。NIE実践校の岐阜市細畑、城南高校(大野良輔校長)が、食に携わる人材育成を特色とする同校ならではのNIEとして、初めて取り組んだ実践だ。生徒らは、夏休み前から準備に入り、仲間と結束してどこにもない一品に挑戦中。指導する先生らは、新聞の多様なレシピが最適な教材になったと話し、生徒らの頑張りを後押ししている。

 実践したのは、調理科2年生の2クラス54人。7月に一人一人新聞からレシピを選び、夏休み中に試作したアレンジを持ち寄って、グループで1品に絞った。

 調理室の生徒らは、真っ白いシェフコートの襟元に緑のチーフ、長めの黒い前掛けというそろいの実習服。食材の切り方や加熱時間、調味料の加減などを確認し合いながら、手慣れた様子で魚をさばき、野菜を千切りにする音を響かせた。

 苦手な「あげずし」をあえて選んだという船山未歩さん(17)は、あげに詰める具をそばやピラフなどにして、見た目も華やかに盛り付けた。早速改良点を見つけながら、「3人で工夫し、段取りや包丁使いなどそれぞれの得意分野で協力して作り上げた。こうした取り組みが、年1回やれるといい」と楽しむ。

 岐阜特産エダマメのおいしさを生かすスパゲティ料理に挑んだ和田迪大さん(16)は「新聞に載っている多くのレシピから選んで、自分でどう変化させるか考えるのはとてもおもしろい」と笑顔。「麺がぱさついたので、火加減を考え、色合いも気をつけたい。枝豆の使い方ももっと工夫する」と張り切っている。

 調理実習を指導する所大治教諭は「料理人にはそれぞれの考え方があり、レシピにも系統があって料理本にも表れる。しかし、新聞は多彩で、いろいろな人たちが情報を発信しており、いわば料理本の集合体。どうやったらおいしい料理が作れるか、ごまかしの利かない基本を学んできた生徒らが、予想以上に生き生きと、アレンジに挑戦していることに驚いている」と話す。

 新聞に載った和食、洋食、中華の枠を超えて、料理のイメージをどんどん膨らませ、チャレンジを楽しむ生徒ら。紙面から刺激を受けて大きく成長する姿は印象的だ。担任の長谷部将也教諭は、教諭14人全員がさまざまな形で取り組んでいるNIE実践の成果を、実感する。「生徒らがこんなふうにコミュニケーションを取りながら作業する姿はこれまでの実習になかった。この体験をきっかけに、もっと新聞に親しんでくれたらうれしい」

 新聞のレシピを活用したアレンジ料理は、まだ未完成。専門の先生からもらったきめ細かい助言を反映して、料理店で提供できるレベルを目指し、さらに工夫、完成品を20日に改めて調理、発表する。