NIE活動の充実に向け、課題を整理し方策を探った会議
アクティブラーニングへの新聞活用などに意見を交わす出席者=いずれも岐阜新聞本社

子ども主体、教師が補助を
 学校教育で新聞を使うNIE活動を推進する岐阜、愛知、三重、静岡各県のNIEアドバイザーとNIE推進協議会事務局長の会議が岐阜市の岐阜新聞本社であった。普及、活動の充実に向けて各県が取り組みを示し、共通課題を洗い出して解決策を探った。主体的、対話的で深い学びのアクティブラーニング(AL)への新聞活用の方法についても議論した。

 会議は日本新聞協会が4県を東海ブロックとしてくくり、実践などの情報交換をしようと昨年から開いており、岐阜県では初。県内からの、原田結花教諭(山県市立高富中)、細江隆一教諭(美濃加茂市立西中)、奥田宣子教諭(山県市立富岡小)の県アドバイザー3人、内木いづみ県推進協事務局長(岐阜新聞社)をはじめ、関係者約20人が出席した。

 前年に続く関口修司・同協会NIEコーディネーターの基調提言は「新学習指導要領とNIE」がテーマ。同要領の総則に初めて「新聞」が記された点などを指摘し、NIEの役割を説いた。都内の小学校長になってから始めた、朝の始業前に新聞に触れる「NIEタイム」の実践例を紹介し、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)での効果をデータで示した。「NIE活動はこつこつ、無理なく続けることが大事で、『日常化の力』をやってみて感じた。子どもを主体にし、教師は上手に背中を押してほしい」と助言した。

 交流を目的に3グループに分かれ、意見交換。それぞれにまとめの発表があり、学校図書館との連携では「司書には本来の業務があり、スクラップをしてもらうのは難しいかも。教師が大事な記事を見つけたら、提供していくことも。新聞記事の価値を共有することが大切」、アクティブラーニングへの新聞活用では「学校現場の教員で共同体を育成し、話し合いができるようにしないといけない。新聞でどんな力が付いていくのかが分からなくなる」、継続的なNIEでは「教師が教材としての新聞の魅力を自身で感じ、子どもたちに提供し、学びを深めていく。そのサイクルができないと広がらない。新聞を続けて読んでこそ、教材としての面白さが分かる」と報告された。

 最後に関口NIEコーディネーターが発言。▽組織化▽一般化▽(教育効果の)可視化と、NIEのすそ野を広げるためのキーワードを挙げて、締めくくった。

 他に、政府が本年度からの5カ年で公立小中学校の図書館に置く新聞を充実させる計画についての説明、「第22回NIE全国大会・名古屋大会」の準備状況の報告があった。来年の会議は静岡市で開かれる。

 第22回NIE全国大会・名古屋大会 日本新聞協会の主催で、8月3、4両日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場を主会場に開かれる。2日目に予定される特別分科会で、岐阜県から奥田宣子教諭(山県市立富岡小、県アドバイザー)、神谷俊行校長(岐阜市立藍川東中)、小川裕美教諭(可児市立蘇南中)、同市国際交流協会高校進学支援教室の生徒が登壇する。