新聞記事を活用して最新の地域防災を学ぶ授業=関市桐ケ丘、関商工高

 私は関市立関商工高校の建設工学科で教えています。NIEを始めたきっかけは東日本大震災です。連日報道される災害状況を生徒と共有する必要を感じたからです。NIEの利点は、日々の学びが社会の実情に関連でき、多面的・多角的な視野が身につくところです。当初からICT(情報通信技術)機器を利用してきました。見やすく分かりやすく新聞記事を提示することで、生徒の学ぶ意欲が向上します。

 NIEとICTは親和性が高く、記事をプロジェクターで白板に大きく投影すると、生徒がパッと注目し、教室に一体感が生まれます。新聞はフォント(見出し)の大小で出来事の重要性が分かり、図や絵が効果的で、一目で内容が理解できます。ICT機器の導入で、今後ますますNIE活用の機会が増えると感じています。

 私の専門分野は「土木」です。まちづくり、交通ネットワークや防災など、生徒が社会の実情や課題と関連して考えるよう新聞を活用しています。活用は3段階。①学びの意義②学びのふりかえり③生徒主体の学び-です。①は教師主導型で、単元の導入に活用します。道路の構造を学ぶ単元では、東海環状自動車道の記事を提示し道路整備の効果を共有しました。身近な例は興味・関心が湧くきっかけとなり、生徒が意欲的に学ぶ姿が感じ取れます。

 ②は単元のふりかえりとしてグループワークに取り入れます。内容が関連する五つ程度の記事を集めて模造紙に貼り、付箋に感想を書きます。防災の単元で、ハザードマップについて意見交換した際には、ある生徒が「危険な箇所に指定されている所で災害が起きたのに避難が遅かった」と書き、他の生徒がその付箋の近くに「周知されていないのでは?」と書きました。新聞を通して、世の中にさまざまな意見があるのを学び、仲間の意見からも学びます。教師が教えるというより、教師と生徒、生徒同士が問題を共有し、一緒に問題の解決方法を考えることを大切にしています。

 ③はオリジナル新聞制作です。生徒自らテーマを設定し、記事を切り貼りし、感想を書きまとめます。ある生徒は子育て環境や高齢者福祉の地域の記事をまとめました。まちづくりに興味を持つきっかけとなり、現在は地元行政の土木技術者として頑張っています。キャリア形成にもつながりました。

 継続してNIEを実践することで、3年生のまとめの時期には新聞を囲んで教師と生徒の会話も増え、「知らないことを知る」楽しさを感じ、お互い3年間の学びの達成感を得ています。