ルールメイキングプロジェクトでアイデアを書き出す生徒たち
地域住民や保護者を交えた校則についての意見交換=いずれも大垣市三塚町、東中学校

 靴下の色、髪型、体操服の着用は自由?―。学校生活には校則をはじめさまざまなルールがつきものだ。こうしたルールを生徒が自ら見直す「ルールメイキングプロジェクト」が今年から、大垣市三塚町の東中学校で行われている。生徒にとって最も身近な学校生活のルールを題材にすることで、生徒たちが主体的に考える姿勢につながった。

 プロジェクトは、認定NPO法人カタリバ(東京都)が全国の中学、高校を対象に実施。押し付けではない話し合いなどによる合意形成で、学校や保護者、地域住民の意見も聞きながら、自ら学校生活の環境をつくる経験を積んでもらうのが狙い。同法人の委託を受けたコーディネーターが同校に派遣され、意見交換をするほか、オンラインで他のプロジェクト参加校や有識者との交流で考えを深めながら、各校でルールを見直していく。

 今年5月、前期生徒会執行部のメンバーを中心に話し合いが始まった。生徒に校則についてのアンケートを実施し、校内に意見箱を設置して提案を受け付けた。事前のアンケートでは、校則を変えたいと考える生徒は多くはなかったが、意見箱には髪型や靴下、靴の色などに対する意見が寄せられた。

 これらの意見を基に、執行部メンバーを中心にアイデアを出し合ったほか、教員や保護者、地域住民ら大人の意見を聞く場も設けて話し合いを進めてきた。

 夏休みに開いた大人を交えた話し合いでは、体操服や靴、髪型などテーマごとに班で意見交換。「現在の体操服は洗濯しても乾きにくい。素材が変わるのには賛成」という実用性を重視する声や「ばらばらでは統一感がないのでは」という生徒側からの声、大人からは「校則が多すぎるとその他の選択肢について考えない。考える力を奪うのでは」との意見もあり、熱い議論が交わされた。

 メンバーは、これまでの意見をまとめ、「自分自身で考え、東中生として自信を持って過ごせる姿~自分も仲間も安心・安全に生活できる学校を求めて~」との理念を掲げた。今月には、各クラスで話し合った内容を代表の生徒が持ち寄って発表した。当初実施したアンケートでは校則に対する生徒の関心は高くないとみられたが、多様な意見が並んだ。靴下の色と長さを決めるだけでも、色を限定する案、「目立たない色」とする案が出され、校則として決定するには至らなかった。

 今月で前期生徒会の任期が終了するため、プロジェクトは後期に新たに実行委員会を発足させ、試験的な導入をしながら引き続き検討することとなった。前期生徒会長を務めた3年の小寺陽香さんは、「いろんな意見を知ることができた。それをまとめることの難しさも感じたが、丁寧にみんなの意見を聞けた」と振り返る。校則への考え方について「安心、安全に過ごすために決められたものを守るのが良いと思っていたが、今は理念に合うよう自分で考えることが成長につながると思う」と変化した。後期は委員の一人としてプロジェクトに携わり、「最後までやり遂げたいし、活動は楽しい」と話している。