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岐阜新聞・岐阜放送懇談会

香港は新冷戦の最前線 <西濃10月例会>

立教大法学部教授 倉田徹氏



「日本は賢い外交をして米国、中国とうまく距離を取らなくてはいけない」と話す倉田徹さん=大垣市万石、大垣フォーラムホテル
「日本は賢い外交をして米国、中国とうまく距離を取らなくてはいけない」と話す倉田徹さん=大垣市万石、大垣フォーラムホテル

テーマ 「香港民主化デモと東アジアの未来」

 岐阜新聞・岐阜放送懇談会の10月西濃例会は19日、大垣市万石の大垣フォーラムホテルで開かれ、立教大法学部教授の倉田徹さんが「香港民主化デモと東アジアの未来」をテーマに、香港で広がったデモとその影響について講演した。「香港問題は米中の東アジアでの勢力圏争いにつながる。日本は賢い外交をして両国とうまく距離を取らなくてはいけない」と展望した。

 倉田さんは香港デモが、大がかりな民主化運動になっていく過程を説明。「『逃亡犯条例』改正の撤回要求という個別の政策批判から始まったが、改正案の一時停止発表後もデモの参加者は満足せず、抗議の最初の自殺者が出たこともあって運動に火がついた」と紹介し、その後も運動の目的が政権批判、普通選挙要求の体制批判へと変化していったことを解説。「北京が直接の攻撃対象になってからは運動の性格が"革命"になっている」と話した。

 運動の過激化については、昨年8月のデモ参加者の87%が「香港が制裁されれば中国の損がより大きい」と考えているとする調査結果を示し、「北京を巻き込むために香港を壊す自傷行為になっている。半分やけっぱちで、それだけ追い詰められている」と述べた。民主化デモが行われる中、制定・施行された「香港国家安全維持法」も紹介。「中国でもあり得ないスピードで、前例のない立法手続きだった」と振り返り「罪の定義をわざとあいまいにして、どこまでやれば罪になるか分からなくしている。香港市民は忖度(そんたく)して黙るしかない」と解説した。

 今後の世界の動向については、「香港は主権は中国だが、社会は欧米の市民社会とつながっている。香港は米国と中国の"新冷戦"の最前線であり、こういう場所は他にない」と話し、「米国の危機感は、香港が中国の完全制御下に入った後、台湾、尖閣諸島へと中国が手を出していくことにある。米中開戦のリスクもある」と懸念を示した。