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岐阜新聞・岐阜放送懇談会

豊かさ見直し脱成長型の資本主義へ<西濃6月例会>

大阪市立大経済学研究科准教授 斎藤幸平氏



「今は常に働くことを強いられている。社会のゴールとは何かを考え直すべき時に来ている」と話す斎藤幸平さん=大垣市万石、大垣フォーラムホテル
「今は常に働くことを強いられている。社会のゴールとは何かを考え直すべき時に来ている」と話す斎藤幸平さん=大垣市万石、大垣フォーラムホテル

◆テーマ「『資本論』に見い出す『脱成長』のヒント」

 岐阜新聞・岐阜放送懇談会の6月西濃例会は11日、大垣市万石の大垣フォーラムホテルで開かれ、ベストセラーになった「人新世の『資本論』」の著者で、大阪市立大経済学研究科准教授の斎藤幸平さんが「『資本論』に見い出す『脱成長』のヒント」をテーマに講演した。斎藤さんは気候変動問題に対して行き詰まりを見せつつある資本主義の現状を紹介し、解決策として脱成長型のポスト資本主義を提示。「豊かさや平等、自由とは何かを問い直し、社会のゴールとは何かを考え直すべき時に来ている」と述べた。

 気候変動の原因とされる二酸化炭素の排出量を減らさないと、大勢の難民が発生するなどの大きな問題が起きると説明。その対策として近年注目されている国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)については、思想家・経済学者のマルクスの言葉をもじって「SDGsは大衆のアヘンである」と批判した。理由を「レジ袋の削減といった小さなアクションを行うことで満足し、火力発電所の停止といった本当に必要とされている大胆なアクションを起こさなくなってしまう」と訴えた。

 また電気自動車といった新技術開発による環境の保護については、バッテリーに使われるリチウムの産出国のチリで採掘を行うことで、現地の生態系や現地に住む人の環境に悪影響を与えていることを説明。「一見クリーンになったように見えても、クリーンにする技術のために別の資源を犠牲にしている」と批判した。

 その上で経済成長を基本とする資本主義では、脱炭素社会を目指すことは困難であると結論。「競争主義の今は常に働くことを強いられている。コロナ禍の今は、新しい価値観を形成して脱成長へと移行していくいいきっかけになる」と話した。