東濃の「からすみ」独特な形 富士山、書道用具...ルーツは?

2018年08月31日 09:45

  • 切った断面が山の形となる独特の形状が特徴の「からすみ」
  • 瑞浪、恵那、中津川市を中心に東濃地域で親しまれている郷土菓子「からすみ」=瑞浪市薬師町、美濃廣庵

 「からすみ」と聞いて一般に思い浮かべるのは、ボラなどの卵巣を塩漬けし天日干しして乾燥させた高級珍味。しかし岐阜県東濃地域では、米粉を蒸した郷土菓子だ。味、見た目、材料が全く異なる二つの食べ物に関係はあるのか、ルーツを探った。

 中津川市の老舗和菓子店「七福」の社長で中津川菓子組合長の安藤隆生さん(49)によると、郷土菓子のからすみは同市を中心に東濃地域で親しまれ、江戸末期ごろから作られるようになった。明確な史料がなくルーツに関しては諸説あるという。

 からすみは、練った米粉を棒状にして専用の木型に入れ、型を外して15~30分ほど蒸し上げて作る和菓子。

 特徴は独特な形状だ。切った断面は山の形をしており、頂点に二つのこぶがあるのがスタンダード。まれにこぶが三つあるものもある。

 では、なぜ山の形になったのか。からすみは、桃の節句で甘酒とともに各家庭で作られてきた。子宝の象徴として縁起物とされていた珍味のからすみにちなみ、わが子が「日本一」幸せになるように願って、富士山を模した形になったという。

 一方、瑞浪市の老舗和菓子店「美濃廣庵」マネジャーの成瀬晃司さん(39)は、中国・唐時代の文鎮とすずりを兼ねた墨が由来ではないかと話す。山形の頂点の窪みに水を入れて作った墨液が漏れないよう両端を小さな仕切り板で塞いで使用していた道具の形を模したという説だ。道具は一般に「唐墨(からすみ)」と呼ばれていたという。

 いずれにせよ、史料が残っていないため、明確な起源は分からないが、安藤さんは「嫁いで東濃から出ていった子どもたちに贈ると喜ばれる」と話す。以前よりも手作りする家庭は少なくなったが、懐かしい故郷の味として愛されていることは間違いないようだ。

 岐阜新聞社は「地方創生~チカラは地から~」をテーマに、県内各地で移動編集局を展開している。第4弾は東濃5市の魅力を伝える。

 美濃焼、地歌舞伎、山城、地酒、そして近未来のリニア中央新幹線―。山々に囲まれた東濃地域は、豊かな自然が育んだ歴史や伝統、ものづくり、食が多彩な輝きを放ち、多様な文化が交差する「宝箱」だ。