【中津川駅】「東デパート」があった駅前 思い出す昭和の活気

2018年09月02日 09:07

東デパートがあった場所に立ち、当時の思い出を語る吉村國昭さん=中津川市太田町、中津川駅前交差点

東デパートがあった場所に立ち、当時の思い出を語る吉村國昭さん=中津川市太田町、中津川駅前交差点

 昭和の頃、中津川駅(岐阜県中津川市太田町)前にデパートがあった。少なくとも3軒はあったらしい。中でも駅から最も近く、当時の駅前広場に面した一等地に店を構えていたのが「東(ひがし)デパート」だ。

 現在のタクシープールと駅前交差点付近にあったといい、1970年代の駅前再開発で閉店、解体された。ただ、今も会社は残り、駅前2カ所で文具・画材店や学生服店などを経営している。現社長の吉村國昭さん(73)は「デパートといっても雑貨店のようなものかな。デパートっていう言葉がはやっていた時代で、店名にデパートを付ける店が多かった」と振り返る。

 東デパートは吉村さんの父、明治生まれの勝海さん(故人)が終戦後の50年、名古屋から帰郷して創業。現在の中津川市下野の生まれで実家の屋号「東」を店名に使った。木造2階建ての外壁はモダンな豆タイル貼りで、駅前を彩った。日用品、衣料品、雑貨、文具、化粧品、金物、スポーツ用品など食料品以外は何でも扱った。中央線や北恵那鉄道に乗って遠方からも多くの買い物客が来店し、家族や親戚総出で接客。住み込みの店員や家政婦もいたという。

 鉄道が社会の中心にあり、駅前が華やかだった時代を象徴する東デパート。「昔は良かったといっても、その時代に戻れるわけではないから。一生懸命に生きてきた昭和の思い出だね」。吉村さんは遠くを見つめながら、そうつぶやいた。

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