-新年の事業展望は。

 電子事業ではAIサーバー用のICパッケージ基板が好調で、セラミック事業もEV(電気自動車)向けなど成長分野にリソースを集中させています。市況の本格的な回復は2025年と想定しており、今年は品質の改善や生産性向上、人財教育を進め、足腰となる現場力を鍛えていきます。

 -前倒しして稼働する大野事業場など設備投資の見通しは。

 最先端の工場となる大野事業場の建設を早め、25年後半に立ち上げ、好調な生成AI関連の需要に応えます。河間事業場は26年後半になります。生産拠点の情報を集約、共有するワンファクトリー化にも取り組みます。全体で一つの工場のように安定した品質を保ち、いい仕組みができれば瞬時に他工場へ展開できるよう、デジタル技術やロボット化の投資も進めます。最先端の大野や河間の事業場でモデルケースを整え、他工場や海外にも広げます。

 -人の確保、育成は。

 自ら考え、現場の改善ができる自立した人財を育てることが現場力の向上につながります。学び直しのリカレントや新たな技術を学ぶリスキリングにより人財育成を進めます。人の確保でいえば、大野、河間の2事業場で約2千人が必要です。新入社員やキャリア採用のほか、海外工場の人材を日本に迎え、最先端技術を習得してもらい、将来は母国で活躍する管理者を育てます。

 -脱炭素の取り組みを。

 当社は水力発電で始まった会社で、太陽光や水力、小水力、バイオマスといった再生可能エネルギーを積極的に活用しています。自社コージェネレーションシステムへの水素・アンモニア混焼の技術検討や、産学連携でCO2回収・固定化の技術開発にも取り組んでいます。社内では、CO2削減に寄与した取り組みをコスト削減と同じく評価するインターナルカーボンプライシングを進め、社員の意識を高めます。