ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチでTKO勝ちし、防衛を果たした井上尚弥=東京ドーム

 世界4団体王者が、規格外の舞台で強さを見せつけた。6日、東京ドーム(東京都文京区)で34年ぶりとなったボクシングの興行のメインイベントで井上尚弥(31)=大橋=が元世界王者のルイス・ネリ(29)との防衛戦に6回TKOで劇的勝利。4万3千人が入った会場から大きな「尚弥コール」が湧き起こった。

 史上2人目となる2階級で4団体王座を統一した井上尚は、大舞台にふさわしくギターの生演奏や花火といった派手な演出の中で登場。客席は最上階までびっしりと埋まり「東京ドームをかみしめ、4万人のお客さんをしっかり見た」。1回にプロ初のダウンを喫したが、計3度のダウンを奪い返す展開で観客の期待に応えた。

 注目の一戦でチケットの最高額は22万円。集客は近年の大規模なボクシング興行の2倍以上で、当日券を求めて午前6時から並んだ人もいた。試合を見届けた水戸市の会社員、成田俊和さん(45)は「1回でひやひやしたけど、それが伏線になって最後に全部ひっくり返した。感動した」と満足の様子だった。