匿名配送を使った薬物密売事件の構図

 処方された向精神薬を密売したなどとして、中国四国厚生局麻薬取締部が麻薬取締法違反などの疑いで3月に逮捕した青森県の20代男が、送り主と受け取り側の双方が住所を明かさずに荷物を送ることができる「匿名配送」という仕組みを悪用していたことが8日、捜査関係者への取材で分かった。匿名性の高いアプリ「テレグラム」で連絡を取り合っていた。

 捜査関係者によると、男はXに、向精神薬の写真と共に「服用をやめたので余っている」などと投稿。連絡が来るとテレグラムに移行し、売買方法や代金といった詳細についてやりとりしていた。

 実際に注文を受けると、ネットオークションやフリマアプリに薬物の代わりに架空の電化製品などを出品。顧客から代金が振り込まれると、掲載していた商品ではなく向精神薬を送っていた。利用した匿名配送は、フリマアプリなどのサービスの一環という。

 密売していた向精神薬は、男が自宅近くの医療機関を受診し、処方されたもの。男は複数の種類を取り扱っており、2019〜24年の間に約200万円を売り上げていた。