3Dプリンターを操作する生徒=土岐市泉町河合根ノ上、東濃特別支援学校
ワープロ検定などに向けて練習に励む生徒=同

◆プログラミングや3Dプリンター活用

 日進月歩で進むデジタル社会で生きていく力を養おうと、土岐市泉町河合根ノ上の東濃特別支援学校ではプログラミングや3Dプリンターを活用した授業を実践している。2021年にはその取り組みがデジタル庁に評価され、「デジタル社会推進賞」に県内で唯一入賞した。大竹陽平教頭は「ICT(情報通信技術)教育で知的障害のある子どもらの生活の幅が広がり、より豊かなものになれば」と期待を込める。

 デジタル社会推進賞は、デジタル大臣による初の表彰制度で、同庁がミッションとして掲げる「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」に貢献する個人や団体を表彰する。昨年定められた10月10、11日の「デジタルの日」に合わせて受賞者が発表され、全国の309の個人や団体の中からから、プラチナ賞1件、金賞2件、銀賞7件が選ばれ、同校は銀賞を受けた。

 同校では、知的障害のある子や低学年でも楽しんで学ぶことができるプログラミングアプリや3Dプリンターの活用、情報処理検定の受験支援などを行う。加えてこれらの実践を教員や児童生徒と共有するための掲示板「ICTラボ Goo」を校内に設けるなどしており、それらの活動が評価をされた。

 受験支援は20年2月から始めた。生徒はビジネス文書などを作成する「日本語ワープロ検定試験」や正確で迅速なキーボード入力技能の向上を図る「文書入力スピード認定試験」などに向けて練習に励み、これまでに延べ37人が合格や認定を受けた。

 プログラミングの授業ではビジュアルプログラミング言語「ビスケット」を使って学習。本年度は小学部5年生の授業に取り入れ、ミニゲームを作成するなどした。授業を担当するICT活用主任の春見明子教諭は「国語や算数の勉強ではすぐに諦めてしまうところがある児童でも、ゲームを作る時は試行錯誤をする様子が見られた」と振り返る。

 3Dプリンターは21年度に導入。2月にあった高等部3年生の授業では、タブレット端末を使ってアニメの好きなキャラクターなど思い思いの絵を描き、それらを3Dプリンターで印刷した。生徒は機械が動く様子を食い入るように眺めていたという。春見教諭は「これからの時代を生きていく子どもたちが一生使っていけるような武器を持てるよう、ICTを活用した学習者中心の授業をしていきたい」と話している。