伊自良南小・原田結花教諭 調べて考える力養う
川辺中・細江隆一教諭 「はがき新聞」今年も
高富中・奥田宣子教頭 表や図で読み解く力
県NIEアドバイザーの原田結花教諭(山県市立伊自良南小)、細江隆一教諭(加茂郡川辺町立川辺中)、奥田宣子教頭(山県市立高富中)は、2021年の県内のNIEを展望し、新型コロナウイルス感染拡大の中、「考える力」を育成した成果に注目する。
-コロナ禍のNIE実践の在り方は。
細江 昨年は、子どもたちの関心がコロナに集まっている今しかできないことを考え、日本新聞協会の「いっしょに読もう!新聞コンクール」に参加した。授業時間も足りない中だが、工夫した。
原田 漢字・計算ドリルと同じように、調べて考える力は基礎学力。無理なく、少しずつ、NIEを毎日当たり前にやっていくことが大事ではないか。
細江 昨年から毎週土、日曜日の各新聞を購入して、子どもが関心を持ちそうな記事を集めたウイークエンドニュースを作り、月曜日に紹介している。子どもの関心も高く、自分でやってみて面白かった。
奥田 先生への働き掛けになるが、各紙のいじめ連載企画など、共有しなければならない教育的な記事は、積極的に紹介している。興味の問題や、時間がないという先生もいるので、まず、新聞で最新情報を伝えたいと考えている。
原田 コロナ禍で教員の仕事は増えている。しかし、新聞を読む習慣を付ければ、NIEは意外に簡単で幅が広がる教材。今は対面が難しい状況だが、新聞には多様な意見があるので、他者の意見を聞く対話になることを知ってほしい。
-本年度のNIE実践校の活動で、特に印象に残るのは。
原田 笠松町立笠松中学校は、SDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた総合的な学習と新聞をうまく結び付けて取り組んだ。元NIE実践校の城南高校も、新聞のレシピで料理を考え、ユニークなNIEを展開している。
奥田 関市立旭ケ丘中学校は、人権に関する記事について自由に感想や意見を書き添えていく「つぶやきニュース」を行い、対話を成立させて無理なく人権教育のきっかけにした。
細江 岐阜高校の自民党総裁選の分析・議論が、非常に興味深かった。アプリを使って模擬投票を集計し、新聞を活用するハイブリッド型の実践。身近でタイムリーなテーマだった。
-新年度から中学校でも新学習指導要領が全面実施となる。
奥田 新聞には表や図が多いが、教えなくても子どもたちはよく分かっている。新聞を読むと、言葉で説明して図式を読み解くというすごい力がつく。新聞は、日常社会と学校の教科学習を結ぶ手軽なツールだと思う。
-最後に、本年の具体的な取り組みを。
細江 昨年、新聞の作り方を学んだ後、はがき大の新聞を製作した。俳句新聞やビブリオバトル(発表者がお薦め本を紹介し多数決で1冊を選ぶ書評会)新聞、医療従事者へのメッセージ新聞も作った。手軽で、廊下の個人用はがき入れに完成作品を入れ自由に見られるようにして交流もできた。非常に好評で、活動は学校全体に広がった。今年も取り組み、新聞記事を題材にするなどNIEをリンクさせると非常に面白いと思う。
原田 私は小学校なので、まず新聞を手に取る子どもを増やしたい。新聞クラブで新聞紙のコサージュやバッグなどを作りながら、記事を話題にする。図書委員会の記事掲示も続け、先生の手を少し離してグレードアップを目指す。低学年は新聞でカルタを作るなど、学年に応じて取り組んでいく。
奥田 教職員のNIEに対する意識改革として、「日常的に使う生きた教材」だという捉え方を広めたい。それぞれの教科を通し、新聞を見る目を養なってほしい。その中で端末を活用し、無理なく効果的に新聞を使っていけたらいいなと思う。